2011年4月5日(火)「しんぶん赤旗」
思い出の品 散乱
見つかった写真 市が保管
宮城・石巻
東日本大震災発生から3週間以上たった今も津波への警戒が続く中、宮城県石巻市の沿岸地域では、写真などの思い出の品が風雨にさらされています。
3日、数百メートル先に海岸が広がる石巻市南浜町。ここで土台だけを残した自宅で、夫と次女の3人で捜し物をする女性(54)は「思ったより捜しに来ている人が少ない。津波がまた来るのじゃないかと、心配なんだろうね。私たちも半分おっかないもの」といいます。両親らの遺影や位牌(いはい)を見つけたいといいます。
手にハンマーを持つ女性(41)は「お母さん(73)が避難所と安置所で、何度捜しても見つからないんです。お母さんの物を捜すけど、全部流されて何もない。だから家の土台を割ってきた」と石片を見せてくれました。
町内を歩くと、道路わきには写真やアルバムが散乱しています。記者が1時間ほど歩くとアルバムや写真5点が見つかりました。写真には幼い姉妹の夏祭りの様子や九州旅行の手作りパンフレットを付けたアルバムなど、持ち主の人柄がうかがわれるものばかり。
これらの写真を石巻市役所に届けました。市では、捜索で見つかった写真や貴金属などを、市施設で保管しています。返還のための公開の時期は、未定としています。写真を受け取った市の男性職員は「被災した私の家もアルバムが泥だらけで見つかったが、捨てられないもの。持ち主に戻るよう市で大事に保管したい」と語ります。(矢野昌弘)