2011年4月5日(火)「しんぶん赤旗」
仙台住宅街 地割れ深刻
内陸部も大きな被害
東日本大震災は内陸部にも大きな被害を与えています。仙台市郊外の住宅街では地滑りと地割れで道路はえぐれ、家屋は傾き、立ち入りを制限されている地域もあります。今なお地盤が動く恐怖の中、「震災前のように安心して暮らしたい」と願う住民たちの思いがありました。(秋山豊、藤川良太)
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3日、同市青葉区高野原地区の高台にある住宅街は一見平穏で震災前の静かな暮らしを取り戻しているかのようでした。しかし、北側の一画に足を踏み入れると様相は一変。のり面が崩落し、大きな地割れが住宅の真下に走り、付近の道路は通行止めになっていました。幅50センチ以上、深さ1・5メートルほどの地割れが男性(61)の自宅と、庭を完全に分断しています。
「地震直後、玄関と庭の間に走っていた地割れは幅20センチほどだった。地盤がまだ動いている」と男性は語ります。地滑りで裏庭は崩落し基礎はむき出しになっています。
遠くに山々を望む景色が気に入り、8年前、自宅を購入。昨年5月、退職金でローンを払い終えたばかりでした。85歳の母と妻と3人で暮らす男性は、毎年夏に裏庭で家族と過ごすバーべキューを今年も楽しみにしていました。「妻がおびえているのを見るのはつらい。早く復旧して静かな暮らしを取り戻したい」と思いは切実です。
地震発生から4日までに同市に寄せられた宅地災害の相談は約900件。市は市内約1800戸を対象に被災宅地危険度判定を行い、そのうち約330戸を危険宅地、約570戸を要注意宅地と判定しました。
子ども安心の環境ほしい
「犬走るだけで家揺れる」
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東日本大震災で大きな被害が出た仙台市郊外の太白区緑ケ丘4丁目は宅地災害発生の避難勧告地域です。傾いた家屋には「危険宅地」や「要注意宅地」と書かれた被災宅地危険度判定の紙が張られ人影はほとんどなく、ひっそりとしていました。道路は波打ちアスファルトがえぐれ、電柱は傾き街路灯も用をなしていません。沢地だった場所に盛り土をして開発した宅地造成地です。
地滑りによる地割れは女性(37)の自宅の床下にも走り、隣の家の敷地まで切り裂きました。女性は地震直後、子どもを連れて逃げようと外に出たときに地面が裂けていることに気づきました。自宅は基礎から浮きあがり、飼い犬が家の中を走るだけで揺れると話し、夜は近くの避難所に身を寄せています。
今春、小学生になる長男と幼稚園に入る子どもがいます。不安から下の子は昼間でもお漏らしを繰り返すようになりパンツからおむつに戻ってしまいました。「子どもが安心して暮らせる環境がほしい」
同市青葉区西花苑地区、折立地区、新川地区でも地滑りによるがけ崩れや地割れで家屋の損壊などが発生しており、「ここにはもう住めないかもしれない」「地割れ被害はあまり知られていない。取り残されるのではないか」という不安の声が上がっています。