2011年4月4日(月)「しんぶん赤旗」
原発事故 そこが知りたい
Q 東電の会長が表明した福島第1原発1〜4号機の廃炉ってどういうこと?
A 原子炉を将来にわたって運転できないようにすることです。
廃炉のためには、原発内に大量に存在する放射性物質を安全に処理または、管理する必要があります。使用済み核燃料や運転に伴って発生した放射性廃棄物を敷地内から搬出したうえで、原子炉などをそのまま閉鎖して長期にわたり管理する方法や、原子炉等をコンクリートやアスファルトで封印する方法、原子炉や建屋などを解体、撤去する方法があります。
日本でこれまで行われた廃炉では、放射能レベルが低下するまで一定期間閉鎖した後、最終的に解体、撤去する方法がとられています。1998年に商業用原発としては日本で最初に運転を終了した東海原発は、使用済み燃料を搬出後、2001年12月から工事を開始、21年に建屋等を撤去して終了の予定です。
過去に行われた見積もりによると、110万キロワットクラスの原発の解体には約300億円、解体して発生する放射性廃棄物の処分費用は福島第1原発のような沸騰水型で187億円とされています。廃炉には、多大な費用と長期の時間がかかります。
解体に際しては、環境への放射性物質の放出を防ぎ、作業員の被ばくを防止しなくてはいけません。そのために、核燃料などを原子炉から取り出した後に作業に着手する必要があり、また建屋を最後に解体するなどの手順が定められています。
しかし、これは安定的に停止させた場合です。福島第1原発の場合、周辺や施設内が高レベルの放射能を含む水などで汚染しており、作業員が安全に作業するには大規模な除染が必要です。また1〜3号機では、炉心溶融が起きていると考えられており、冷温停止にこぎつけたとしても、核燃料の取り出しには時間がかかるとみられます。さらに1、3、4号機では建屋が大きく損傷しているため、放射性物質の飛散を防止する措置が必要など、廃炉にもちこむには多くの課題が山積しています。