2011年4月4日(月)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
「原発に対する日本のルールは古い科学に頼っていた」。米紙ニューヨーク・タイムズが先月、こんな見出しで日本の原発事故を報じていました▼同紙は、日本の政府や電力会社は今回のような地震や津波は予想外だったと繰り返してきたけれども、早くから地震学や津波の専門家が警告していたのを無視したと書いています。津波の科学などは進歩しているのに、日本の官僚や技術者の一部は長年、「原発を保護するために、古い科学の教えにしがみついてきた」と▼検証すべきことが多いことはいうまでもありません。しかし、事態の収束が急がれます。科学者や専門家が大震災や原発事故への対応で見解を発表し、急いで取り組むべき課題を政府に求めています▼元原子力安全委員会委員長の経験者などが東京電力福島第1原発の事故に対処するため、国を挙げた強力な体制を緊急につくることを政府に求めました。「事態は次々と悪化し、今に至るも収束の見通しが得られていない」からだといいます▼3日付本紙に掲載された提言を読むと、原子炉内は予断を許さない状況にあることをさまざまな側面から指摘しています。放射線・放射能対策の検討なども急ぎ、事態をこれ以上悪化させないために英知の活用をと訴えています▼原発事故での情報開示のあり方で日本学術会議が提言。科学的・技術的な背景説明や、国民がとるべき行動の詳細などを説明する体制整備を急ぐよう求めています。政府はこれらの提言を検討し、生かしてほしい。