2011年4月3日(日)「しんぶん赤旗」

いっせい地方選前半戦 原発問題が大争点に

解決の道筋示す日本共産党 志位委員長が訴え


 未曽有の大震災と原発事故のもとでたたかわれているいっせい地方選挙は2日、前半戦投票日(10日)に向け最後の土曜日を迎えました。日本共産党は志位和夫委員長が神戸、北九州両市で、市田忠義書記局長が静岡、大阪両市で演説にたち、支援を訴え。志位委員長は演説のなかで「原発をどうするかが今後の選挙戦の大争点になってきました」として原子力行政とエネルギー政策の転換を訴えました。


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(写真)街頭演説で訴える志位和夫委員長=2日、神戸市

 志位氏は、「いま多くの国民が『やっぱり原発は怖い』と感じる一方で、『エネルギーをどうしたらいいか』と考えておられると思います」と切り出し、日本共産党の提案を二つの柱で訴えました。

 第一は、安全最優先の原子力行政への転換です。

 志位氏は日本の原子力行政の一番の問題に「安全神話」があると指摘しました。

 福島原発の事故も、日本共産党が国会質問で大地震と大津波が同時にきたら外部電源も冷却機能もなくなり重大な事故につながると警告していたのに「安全だ」として安全対策を怠ったのだから「人災といわなければならない」と強調。原子力の危険性を正直に語り、安全確保に万全の体制をとる「正直で科学的な原子力行政」への転換をと訴えました。

 その上で、志位氏が菅直人首相との党首会談で原発14基の新増設計画の中止を求め、首相が「白紙見直しを含めて検討する」と表明したことが、内外に衝撃と波紋を広げていると指摘。地方紙が軒並みトップで扱い、ある新聞が「原発頼みの日本のエネルギー政策が変わる兆しが出た」と書いたことを紹介し、「『兆し』まで出てきたのだから、新増設は中止、浜岡原発は永久停止、あまりに危険で世界でも日本しかやってないプルトニウム循環政策はやめることを求めていこう」と訴えると「そうだ」の声と大きな拍手が寄せられました。

 また「日本の原子力行政にはアクセルだけで、ブレーキがない」と推進機関から独立した権限ある規制機関の確立を訴えました。

 その上で、日本共産党が三十数年前から原子力行政の問題点を指摘してきたことにふれ、「科学の立場で国民の命を守る政党が日本共産党です」と支援を呼びかけると「いいぞ」の声と拍手に包まれました。

 第二はエネルギー政策の転換です。

 志位氏がドイツでは発電量の16%が再生可能エネルギーで2050年までに80%にするというが、「日本にもできないわけはない」と強調すると「そうだ」の声が。原発依存から抜け出して、「自然エネルギー中心に切り替えていく戦略的な決断をすべきです」と訴えました。

 また、エネルギー使い放題の「大量生産、大量消費、大量廃棄社会」「24時間型社会」のあり方をみなおし、低エネルギー社会に変えていくことを訴え、そのためには個々人の努力とともに社会の仕組みも変えなければならないと力説。「その一つとして、労働時間もヨーロッパ並みに短くすれば雇用も増えるし、一家だんらんもかえってくる。低エネルギー社会への第一歩です」と訴えると、聴衆も笑顔でうなずきました。

 志位氏は「どうか原発問題の解決の道をしっかり示している共産党を伸ばしてください」と訴え、大きな拍手を受けました。

原発推進の民主 自・公は

 原発問題が選挙戦の一大争点に浮上していますが、各党の態度はどうなのか。

 「『争点隠し』ともいえる煮え切らない態度に終始している」(「朝日」)と評されているのが、これまで原発を推進してきた民主、自民、公明の各党です。

 民主党政権は昨年6月、14基以上の原発新増設などの「エネルギー基本計画」を決めましたが、菅直人首相は志位和夫委員長との会談で新増設の「見直し」を表明、内外に衝撃が走りました。一方、党内には「そういった議論はまだ早い」(岡田克也幹事長)という声も。

 自民党の谷垣禎一総裁は事故当初、「これから後の原発の立地は困難」(3月17日)と述べていましたが、最近では「いまの原発の問題点を乗り越える方法があるのか、ないのか考えなければならない」(3月31日)と後退しています。

 公明党は原発政策の見直しにだんまりを決め込み、「大阪維新の会」「減税日本」などの地域新党は、原発そのものに触れていません。





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