2011年4月1日(金)「しんぶん赤旗」

「思いやり予算」協定の承認

検討もなく“忠米”続行

被災者に背向ける民自公


 今後5年間で1兆円規模の税金を米軍に支払う「思いやり予算」特別協定が31日、国会で承認されました。東日本大震災の被災者が未曽有の被害に苦しみ救援と復旧・復興に多額の予算が必要になるというのに、まともな検討もなく“忠米”路線を相変わらず続けることは許されません。

 特別協定はもともと、円高時に米国の財政負担が厳しいことを理由に、期限を切って始められたものです。30日の衆院外務委員会で日本共産党の笠井亮議員は、「大震災で戦後最大の困難に直面しているのは日本の方だ。年間2000億円もの税金を5年間払い続けることが妥当なのか」と追及。しかし北沢俊美防衛相は「米軍は災害で努力してくれている。下世話な話だが身銭を切って支援してくれている」と正当化しました。

 世界各国が無私で支援に駆けつけている時、米国にだけ優遇する姿勢は国際的にも復興に取り組む日本政府の姿勢が問われます。

 「『思いやる』べきは米軍ではない。未曽有の大震災で苦難にあえいでいる被災者・国民だ」と主張する笠井氏に対し、自民議員でさえ「こちら(日本)からは言えないので、向こう(米国)の方から思いやりを辞退してくれればいいのだが」と言わざるをえないほど大義がありません。

 1月21日に日米両国が署名した特別協定は、予算案をめぐり与野党の攻防が続く中、審議入りすらできませんでした。ところが震災発生後の3月14日、民主党の岡田克也幹事長が、“復旧のため審議に協力を”などと震災に乗じて同協定の承認を野党に要請。これに自民、公明が同調し、衆院本会議での質疑も省略してわずか2日間の審議で強引に成立させました。

 31日の衆院本会議で自民党は「在日米軍の効果的な活動を確保するため、同盟国として果たすべき責務」(小野寺五典議員)、公明党も「一定の代償は必要。米国はかけがえのないパートナー」(赤松正雄議員)などと述べ、民主とともに、「米国いいなり」の姿勢を際立たせました。

 日本政府が今、やるべきことは、被災者救援と復旧・復興を最優先させ、「思いやり予算」などを撤回すべきです。(遠藤誠二)





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