2011年4月1日(金)「しんぶん赤旗」

主張

大震災と原発事故

「どこでも」の危険に向き合い


 東日本を襲った戦後最悪の大震災とそれにともなう東京電力福島第1原発の重大事故は、被災地だけでなく、日本中どこでも同じような事態がおきかねないことを浮き彫りにしています。大震災と原発震災の危険に向き合うことは、国民全体の課題です。

 いっせい地方選挙のなかでも、震災対策や原発問題が大きな関心を呼んでいるのは当然です。

世界有数の地震国で

 東日本大震災のきっかけになった東北地方太平洋沖地震はマグニチュード(M)9・0、最大震度7と記録的な大きさで、直後に各地を襲って大津波もところによって10メートルを超すなど、記録的な被害をもたらしました。その後もM7クラスの余震が相次ぎました。

 地球の表面を覆ういくつものプレート(岩板)の境界に位置し、世界有数の火山国でもある日本は世界でもっとも地震の多い国です。過去にも阪神・淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震(1995年)など、大きな地震にたびたび見舞われたことがあります。日本周辺の地震は活発に活動する「活動期」に入ったといわれており、東海や東南海、南海などの大地震の発生が懸念されています。

 今後起きる地震が、今回の東北地方太平洋沖地震が記録したM9・0クラスにならない保証はありません。専門家は地震や津波の想定そのものの見直しが不可欠だと指摘しています。

 そうした中、世界有数の地震大国の列島各地に、北海道から九州まで原発が建設されている危険は明らかです。東日本大震災にともなう東電福島第1原発の重大事故は、大地震や大津波への備えを怠り、「安全神話」にしがみついて建設を進めてきた政府や電力会社の責任を浮き彫りにしています。現在日本では54基の原発が稼働中です。地震や津波への備えは大丈夫か、全ての原発を総点検し、必要な対策を講じることが不可欠です。原発の新増設計画は中止すべきです。東海地震の震源域の真上にある静岡県の浜岡原発などは直ちに運転を中止すべきです。

 原発が地震や津波の被害を受け、いったん大事故を起こせば、広い範囲での避難や飛散する放射性物質による汚染の危険など、さまざまな被害を及ぼすことも現実のこととなっています。農産物や水道水の放射性物質による汚染など、生産者にとっても消費者にとっても被害は甚大です。原発政策を見直し、国民の安全を確保するのは国の政治にとっても地方の政治にとっても最優先課題です。

 原発事故で電力供給に不安が生じ、東京電力が実施した「計画停電」も国民の暮らしや経済活動に大きな被害をもたらしています。電力供給を原発に頼るのはやめ、風力や水力、太陽熱や太陽光など、自然エネルギーの利用を大幅に拡大していくべきです。

防災・福祉の町づくりを

 地震や津波など自然災害は完全に防ぐことはできなくても、建物の耐震化など災害に強い町づくりを進めることで、被害を最小限に抑えることはできます。地震や津波への備えを欠いた無謀な原発建設で、国民の命や暮らしが脅かされるのは文字通り人災です。

 大切なのは人命です。命と暮らしを守るために防災と福祉の町づくりを前進させることは、いっせい地方選挙でも重要な課題です。





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