2011年3月31日(木)「しんぶん赤旗」
双葉町民、避難先を移動
加須市の旧高校へ 市民、拍手で歓迎
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福島第1原発の放射能漏れ事故を受けさいたま市のさいたまスーパーアリーナに町役場ごと避難していた福島県双葉町は、30日、避難先を埼玉県加須市の旧騎西高校跡地に移しました。
31日までに約1360人の町民が避難する予定で、30日はそのうち約430人がバスで移動。加須市の小学生や市職員、ボランティアで集まった市民が拍手で歓迎しました。
3、4回目の避難先となる人も多く、町民は口々に疲れや不安を語りました。母親と一緒に避難してきたという男性(18)は今春高校を卒業したばかり。「加須市の人たちが拍手で迎えてくれたのは本当にうれしかった。福島県内の会社に内定をもらったばかりだったがどうなるのか。家族もばらばらだし、仕事のことなど自分の将来も不安です」と語りました。
双葉町の井戸川克隆町長は、「いままでよりスペースがゆったりしていて、町民も日一日と落ち着きを取り戻して、疲労の回復が図れるのではないか」と語りました。
今後について問われると「まだお答えできる状況ではない。少し眠りたい」と疲れをにじませ、双葉町に戻るまでさらなる移動は避けたいとの考えを示しました。
出迎えた加須市の大橋良一市長は、市内の企業からも就労支援の申し出があることなどを明かし、「双葉町の町民の考えに沿った形で支援していきたい」と述べました。
同高跡地は閉校後、テレビドラマなどの撮影場所として活用されてきました。校内には双葉町の町長室や執務室も設けられました。 (佐久間亮)