2011年3月31日(木)「しんぶん赤旗」
福島第1原発 放水口 汚染水3355倍
建屋たまり水の排出難航
東京電力は30日、深刻な状況が続く福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の放水口付近で29日に採取した海水から、国が定めた濃度限度の3355倍の放射性ヨウ素131を検出したと発表しました。一方、1〜3号機タービン建屋地下や、そこから海側に延びる地下トンネルにたまった、放射能濃度の高い水の排出作業は難航。原子炉の冷却機能を復旧する作業のメドはたっていません。
東電によると、1〜4号機の放水口の南330メートル地点で29日午後2時前に採取された海水から、1立方センチメートルあたり130ベクレル(濃度限度の3355倍)の放射能をもつヨウ素131を検出。26日に検出された74ベクレルを大幅に上回りました。5、6号機側の放水口の北30メートル地点でも51ベクレル(同1263倍)を検出しました。経済産業省原子力安全・保安院は「放出された放射性物質が海に流れ込んでいる可能性がある」との見解を示しています。
タービン建屋地下の汚染水の排出は、1号機で同建屋内の復水器(蒸気を水に戻す装置)に汚染水を移す作業を続けていましたが、復水器が満水に近づいたため中断。2、3号機は復水器などが満水状態なため、別のタンクに水を移し替える準備作業に着手しました。全号機とも終了のメドはたっていません。
タービン建屋地下には、原子炉の本来の冷却システムにとって重要な配電盤や電源ケーブルがあるため、汚染水の排出は今後の冷却システムの復旧作業の状況を左右します。
また2号機の原子炉の温度は上昇傾向があり、1号機も高い状態で推移。1〜3号機で炉内への冷却水の注入が続いていますが、注入するほど汚染水が増えるというマイナス面もあり、厳しい状況が続いています。
一方、原子力安全委員会は29日の会見で、同原発の原子炉や使用済み核燃料プールの冷却作業に必要な期間が年単位となるとの見方を明らかにしました。
また、30日午後6時前、福島第2原発(福島県富岡町、楢葉町)1号機のタービン建屋から煙が出ていることが確認されました。その後、煙は確認されていないといいます。
■関連キーワード