2011年3月30日(水)「しんぶん赤旗」
希望と勇気 なくさない
宮城・名取 小学校卒業式
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宮城県の名取市立閖上(ゆりあげ)小学校は29日、東日本大震災の影響で延期されていた卒業式を行い、43人の卒業生が母校を巣立っていきました。
28日までに720人の遺体が確認されている同市の中でも、閖上地区は名取川の下流付近に位置するため、津波の被害が深刻だった場所です。同小学校も津波に襲われて今も使用不可能な状態にあり、卒業式は同市の那智が丘小学校に場所を移して行われました。
依然として被災地の過酷な状況を反映してか、簡素化された式が粛々と進行し卒業証書が手渡されました。
平山和紀校長は同校に寄せられている励ましの言葉を紹介し、「あなたたちは決して一人じゃありません。生かされた命を大切にし、さらに輝かせるためにも、希望と勇気をもって明日を歩んでください」とのべ、門出を祝福しました。
「みんな無事に卒業できてよかった。この震災で多くの人たちから励ましてもらって、そのことを忘れないでこれからもがんばっていきたいです」と話した女子の卒業生は4月から閖上中学校に進むといいます。
閖上小学校の児童のうち約3分の2が避難生活を強いられています。この日、各避難所をバスが巡回するなどして全校児童が集まりました。無事を確認し再会を喜ぶ光景が繰り広げられました。(岡素晴)