2011年3月30日(水)「しんぶん赤旗」
原発事故被害 国は責任ある対応を
志位委員長が首相に提起
日本共産党の志位和夫委員長は29日、この間、訪問した福島県飯舘村や南相馬市などの被災地で首長から寄せられた要望を踏まえて、菅直人首相に対する「原発事故被害の被災地に関する緊急申し入れ」を行いました。国会内で、藤井裕久首相補佐官が応対しました。 (申し入れ全文)
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志位氏は会談後の記者会見で「27日の被災地訪問を踏まえ、緊急に行ったもので、今後、引き続き適切な機会に、宮城県、岩手県の被災地を訪ねて要望をお聞きし、順次、政府に提起していきたい」とのべました。
申し入れたのは、(1)放射能汚染のデータを、被災自治体と住民に、正確に、すみやかに、継続的に届ける(2)福島第1原発から20キロ〜30キロの「屋内退避」「自主避難」地域に、「避難指示」を出さないのであれば、自由往来や物資の確保を保障し、危険性が高いのなら、万全の体制をとって「避難指示」を出す(3)国として責任ある権限をもった職員を関連自治体に配置し、リアルタイムで情報を自治体に伝え、要望にこたえる体制をつくる(4)風評被害防止のため、政府として責任ある行動をとるとともに、被害の全面補償を行うことを明確にする(5)あらゆる避難者を区別せず、国が責任を持って宿泊場所の提供など手だてをとる――の5点です。
藤井補佐官は、放射能汚染データの公開について、「そのようにしたい」と回答。20キロ〜30キロ圏の問題について、志位氏が「“ろう城”状態が強いられているとの批判の声が寄せられている」と指摘すると、藤井氏は「おっしゃるように穴になり、フォローが抜けていた。政府がのりだして措置をとった以上、対応していく」とのべました。
また、自治体には「原子力安全・保安院の職員を配置している」と語った藤井氏に、志位氏が「現地が望んでいるのは、権限もなければ情報も出さない保安院ではなく、責任ある人物を配置することだ」と指摘すると、藤井氏は「新しい問題なので総理に伝える」とのべました。
風評被害については「対処する」という藤井氏に、志位氏が「政府が全面補償を表明すべきだ」とのべると、藤井氏は「総理に伝える」と答えました。
また、藤井氏は「避難者に区別を設けないのは当然のことだ。ギャップを埋める努力をしたい」と表明しました。
原発事故の現状についての情報開示を
また、志位氏は、「原発危機のすみやかな収束のために、原発事故の現状について、政府が持っているすべての情報を開示して、内外の専門家・研究者の知恵を総結集することが必要だ」と強調しました。
志位氏が、当面、少なくとも、各原子炉施設を襲った地震動の数値、原子力施設の被害の状況、政府の情報収集衛星が撮影した画像、放射能の核種ごとの線量――などについての公開を求めると、藤井氏は「大事なことだと思う。総理に伝えたい」と答えました。
志位氏は、会見のなかで、「政府は、原発事故の収束に向けて、どういう戦略でのぞみ、どういう見通しを持っているのか。いまいえる範囲で国民に対して、説明をすべきだと思う」とのべました。