2011年3月29日(火)「しんぶん赤旗」
原発事故の補償責任
まず東電が内部留保2兆円を
参院予算委 大門議員質問
野田財務相 「国が肩代わり」認める
日本共産党の大門実紀史議員は28日の参院予算委員会で、東京電力福島第1原子力発電所の事故による災害をめぐって、27日までの現地訪問で聞いた被災者の生の声を紹介しながら政府の対応をただしました。
大門氏は「『出荷停止』で自殺に追いやられた農業者も出た。福島の農家は地震、津波、原発に加え風評被害の『四重苦』に襲われている」と指摘。原子力損害賠償制度では補償までに時間がかかるとして立て替え払いを求めました。
鹿野道彦農水相は「仮払いのような仕組みを検討中」と立て替え払いを検討していることを明かしました。
大門氏は、農家から寄せられた風評被害防止の要望として▽安全なものについて「安全確認シール」を貼るなどの攻勢的なアピール▽出荷制限の公表は県単位でなく地域単位にする▽安全なものまで買い取り拒否する事業者への個別指導の徹底など販売ルートの監視―を示しました。
鹿野農水相は「通報を受ければ個別に指導する。安全性について正確な情報を徹底する」と答えました。
大門氏は、避難地域などで働く労働者の賃金補償について、雇用保険の失業給付制度の「特例」措置を拡大するよう要求しました。大塚耕平厚労副大臣は「特例の対象とする通知を出した」と答えました。
さらに大門氏は、相馬市の原釜漁港で「とにかく仕事が欲しい。瓦礫(がれき)の撤去でも何でもしたい」という声が出ていると紹介。「国の100%支出で緊急の失業対策としてガレキ撤去業を進めるべきだ」と求めました。
細川律夫厚労相は、「緊急雇用創出事業を高齢者支援、安全確保パトロール、復興支援のいろいろな仕事に活用してほしい」と答えました。
福島原発事故の避難住民についても言及。大門氏が「災害救助法は福島県全体が適用になっている。第1原発から30キロ圏外でも、『自主避難』(20〜30キロ)でも支援の対象にすべきだ」と求めました。細川厚労相は「福島県下全体に適用されているので、20〜30キロ圏と関係なく国による財政支援が行われる」と答えました。
損害賠償の責任はどこにあるのか。野田佳彦財務相は「第一義的には東電が負うのが基本だ」と述べました。
大門氏は、政府と電力会社が結んでいる「政府補償契約」では、電力会社が政府に支払う補償料が原発1事業所あたり年間たったの3600万円なのに対し、国の損害賠償補償額は1事業所(福島第1原発)あたり最大1200億円に上ることを示しました。大門氏が、国と電力会社どちらが先に損害賠償するのかとただすと、高木義明文科相は「事業者が賠償を行うと考える」などとあいまいな答弁に終始しました。
大門 一義的には東電に責任があるといいながら、これで国民は納得するのか。
野田財務相 一義的には事業者だが、払う順番は違うということだ。
国が肩代わりすることを認めた野田氏に対し、大門氏は、補償契約は“原発で重大事故は起こらない”という「安全神話」を前提にしたものだと批判。「東電の内部留保は2兆円にのぼる。まず東電が最大限払った上で国民の税金ということにならないと、絶対に納得は得られない」と強調しました。
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