2011年3月28日(月)「しんぶん赤旗」
大震災の救援・復興に全力あげる時に
衆院比例80削減 民主が方針確認
東日本大震災で被災地の声を踏まえた救援・復興が求められるなか、民主党が民意を切り捨てる衆院選挙制度の改定案づくりに着手しようとしています。
民主党は25日に開いた幹部会合で、衆院選の「1票の格差」是正のための措置に向け党内の意見集約を進めるなかで、比例代表定数を現行の180から100に80削減する方針の意見集約も目指すことを確認しました。格差が最大2・30倍だった2009年の衆院選を「違憲状態」とした最高裁判決(23日)を受けた対応です。
具体的には、小選挙区の定数300のうち、各都道府県に1議席を割り振ったうえで残り議席を人口比例で配分する「1人別枠方式」を廃止するとしています。
先の最高裁判決は「1人別枠方式」について「投票価値の平等に反する」と断定し、「速やかに廃止する必要がある」としました。これ自体、小選挙区制が限界にきていることを示すものです。
小選挙区制のもとで「投票価値の平等」を保とうとすれば、都市部に定数が偏ることになります。しかし、それでは地方の不満を招きます。そこで「1人別枠方式」をとると、今度は「投票価値の平等」が維持できないという、深い矛盾があらわれているのです。
しかし、民主党が幹部会合で確認した方針は、なおも小選挙区制を前提に、「1人別枠方式」に代わる方法で定数配分を行おうとするもの。しかも、民意を正確に反映する比例代表の定数削減だけを明確にしています。
同党政治改革推進本部のメンバーの一人は「すでに総選挙マニフェスト(政権公約)に党の政策として具体的に書いてあることだ。衆院比例80削減についていまさら議論が必要なのか」と述べ、党幹部の中では「あとは実行のみ」というスタンスがあると指摘します。
他方、「急進的に進めようとしてもなかなか党内調整は難しいだろう。すぐに80削減とはいかないかもしれない」とも述べています。(中祖寅一)