2011年3月27日(日)「しんぶん赤旗」
「去年の米まで返品」
大門参院議員が実情聞く
福島
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日本共産党の大門実紀史参院議員は26日、一部農産品の摂取制限や原乳出荷停止を政府から指示された福島県で実情を聞きました。
福島第1原発から直線距離で45キロほどの川俣町。牧場の牛舎では、乳が出なくなるため3分の1に量を減らしながらも毎日の搾乳は続けています。牛舎内の溝への原乳廃棄は2週間を超えました。
酪農を営む女性(64)は「先の見通しがあればね」と漏らします。収入は途絶えましたが、毎月60万円の牛の配合飼料代はなくせません。今後については「分からない」と繰り返しました。
大門氏は、「原発事故の被害はきちんと東京電力に補償させないといけない。補償が出るまでも収入がなくなるわけで、生活費を国が立て替え払いするように求めたい」と励ましました。
「これから米の作付け準備をしていいのかも分からない」。福島県の須賀川地方農民運動連合会の丹治実会長は頭を抱えます。
地震で壊れた、ため池の修理など復興に向けて動き出す矢先、摂取制限が指示されました。関係ないはずと思っていたのに東京や千葉の米の小売り業者から「今年の取引は分からない」と電話で伝えられました。
丹治会長は「去年の米まで返品されている。放射能汚染がこれからどうなるのか、正確な情報がほしい」と語りました。
大門氏は「摂取制限や出荷停止以外のものは取り扱うように政府からの呼びかけを求めたい。風評被害も補償すると政府は対応を発表しているので、きちんと申請してほしい」と語りました。
相馬市では壊滅した漁港の漁師からも話を聞きました。「家、船、漁港、漁協、すべてを失った」「これから仕事がまったくない」。漁業関係者が語る言葉に耳を傾けた大門氏は、活用できる行政制度などを説明し、「失業対策も政府に求める」と約束しました。 (藤川良太)