2011年3月27日(日)「しんぶん赤旗」
原発事故 捜索はばむ
避難指示で立ち入れず
福島
東日本大震災から2週間が経過しましたが、福島第1原発の放射能漏れ事故による避難指示で家族が立ち入ることができず、福島県内での行方不明者の捜索が遅れています。警察庁によれば、死者904人に対して行方不明者は5950人に達しています。(26日午後6時現在)
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「私も避難する途中、3体発見した。およその犠牲者は判明しつつあるが、現地に入って確認できない」。市域の大部分が福島第1原発から20キロ圏(避難指示)、30キロ圏(屋内退避)に入る南相馬市の渡部寛一・日本共産党市議はいいます。
同市の二十数キロにおよぶ沿岸域はほぼ全滅し、判明している死者数259人は現時点では福島県で最多です。寝たきりの老人が入所していた介護施設「ヨッシーランド」も壊滅的な被害を受けました。
行方不明者も1200人以上に上っていますが、避難指示が出されている地域では捜索は行われません。
家族の強い要請があった場合に限り、自衛隊が20キロ圏に立ち入って捜索を行いますが、県外から動員された自衛隊員は土地勘に乏しい上に、津波で地形が大きく変わっています。死者・行方不明者の発見は困難を極めています。
加えて、市内を流れる川の水門を閉じたまま避難したため、津波直後以上に増水し、ダムのような状態になっている地域もあるといいます。
福島県災害対策本部のまとめでも、福島第1原発が立地する大熊町、双葉町などを含めて避難指示や屋内退避要請が出された市町村の人的・家屋被害状況は「不明」「調査中」や空欄が並びます。
避難長期化が見込まれるなか、震災被害の全容が判明する展望は見えてきません。(竹下岳)