2011年3月27日(日)「しんぶん赤旗」

主張

大震災から半月

規模に応じた救援対策緊急に


 東日本大震災の発生(11日)から半月たちました。被災地では必死の救出・救援活動にもかかわらず、まだ被害の全体像さえ明らかにならず、長引く避難生活の中で亡くなる人さえ相次いでいます。被災した東京電力福島第1原発は、原子炉本体の破損さえ予測され、放射性物質の広範な飛散が、各地で住民生活を脅かしています。

 戦後未曽有の大災害の被害規模に応じた対策が急務です。文字通り、一分一秒を争っています。

制度を総動員して

 大震災で亡くなった人は1万人を突破しました。行方不明者は届け出があっただけでも2万人近くにのぼります。安否がつかめない人も多く、被害がどれほど膨らむのか見当がつきません。半月たっても全体像が明らかにならないこと自体、前代未聞です。

 地震や津波の被害の大きさとともに、福島原発の周辺では放射性物質の飛散が、捜索や救援を困難にしています。ガソリンなど生活物資の不足も活動の障害になっています。地震や津波で助かった命が避難生活の中で損なわれるのを拡大しないことが急務です。

 被災地全体では30万人近くにのぼる避難者の生活は過酷です。きびしく冷え込み、生活物資が不足する中で、避難生活が長引くのはまさに苦痛です。政府は災害救助法や被災者生活再建支援法、原子力災害対策特別措置法など既存の制度を総動員し、それでも足りなければ必要な措置も講じて、被災者を支援すべきです。

 全半壊の家屋は2万5千戸以上にのぼっていますが、町全体が壊滅しているところもあり、これもどこまで増えるか見当がつきません。仮設住宅や公共住宅など、住まいの確保こそ、再建と復興の大前提です。すでに一部の自治体で仮設住宅の建設や公共住宅への入居が始まっていますが、政府は住まいの確保を最優先させてこうした取り組みを支援すべきです。

 これまでの自然災害でも、住み慣れた被災地の近くに住まいを確保し、地域のコミュニティーを維持したいという被災者の願いは切実でした。一時的な遠隔地への避難もこうした願いを尊重しながらおこなえるようにすべきです。甚大な被害規模に応じて全ての被災者に住まいを保障するとともに、生活に必要な仮設の店舗や仮設の工場も求められています。

 被災地では学校や病院などの公共施設や道路、電気、ガス、水道などライフラインの整備も必要になります。町そのものが壊滅したところでは、それこそ一からの出直しです。まずがれきの処理が課題になりますが、住宅が津波で何キロも流されている状態では個人の力では不可能です。国と自治体が責任を持つ体制が不可欠です。

 避難が指示された原発周辺の自治体はとりわけ深刻です。避難先での行政機構の確立と避難した住民の支援に、特別の対策が必要です。自治体任せでなく政府が責任をもって支える必要があります。

生活の再建・復興こそ

 被災者が求めるのはなにより、人間らしい生活を取り戻し、地域社会を再建していくことです。阪神・淡路大震災では「人間復興」がスローガンになりました。

 被災者個人への思い切った個人補償を実行すべきです。国の総力をあげた取り組みこそが、被災者を力づける対策になります。





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