2011年3月27日(日)「しんぶん赤旗」
作業員被ばくの汚水漏れ
配管・燃料損傷が原因か
福島第1原発3号機のタービン建屋地下1階でケーブル敷設中だった3人の作業員が被ばくした問題で、経済産業省原子力安全・保安院は、タービン建屋の地下にたまっていた水は、3号機の原子炉から漏れ出した可能性があるとの見方を示しました。一方で、圧力変化などから原子炉容器に破損が生じている恐れはないとしています。
それでは、どんな経路で原子炉の水が漏れ出したのでしょうか。元日本原子力研究所職員で、研究用原子炉の運転経験がある出井義男さんは、想像の範囲と断りながらも「原子炉からタービンに蒸気を送る配管や注水するための配管などの系統に、損傷などのなんらかの異常が生じて漏れ出たとしか思えない」といいます。
たまっていた水からは、放射性物質のコバルト60、テクネチウム99m、ヨウ素131、セシウム134、同136、同137、バリウム140、ランタン140、セリウム144の9種類が検出されました。このことが、原子炉から漏れ出した可能性があるとの見方の根拠となっています。
元中央大学教授で核燃料化学が専門の舘野淳さんは、揮発性のヨウ素やセシウム以外の放射性物質が検出されたことに注目し、次のように話します。
「揮発性の放射性物質は核燃料棒の被覆管が損傷しただけで出てきますが、セリウムなどは燃料自体が破損するような状態でないと出てきません。原子炉内の核燃料は損傷が相当進んでいると考えられます」