2011年3月26日(土)「しんぶん赤旗」
労災補償棄却取り消せ
東京地裁判決 SEの過労死認定
過重労働による精神障害で処方された薬の過量服薬で死亡したシステムエンジニアの西垣和哉さん(当時27歳)の母、迪世さんが国に労災認定を求めた訴訟の判決が25日、東京地裁(白石哲裁判長)であり、川崎北労働基準監督署による不支給処分を取り消しました。
和哉さんは、富士通ソーシアルサイエンスラボラトリに勤務していましたが、半年間で4回の配置転換を繰り返しました。2003年4月に地上デジタル放送の実現に関するプロジェクトに配置転換され、最大月124時間もの長時間残業になりました。過重な業務にともなう過度のストレスにより、精神障害を発症し、休職と復職を繰り返しましたが、06年1月、過量服薬のため亡くなりました。
同年4月、迪世さんは、和哉さんの死亡が業務上の原因によるものとして、川崎北労働基準監督署に遺族補償給付と葬祭料を請求しましたが、同署は認めませんでした。その後も、神奈川労働局労災保険審査官が審査請求を棄却、労働保険審査会が再審査請求を棄却していました。
勝訴判決を受けて、迪世さんがコメントを発表し、「自分の命より大切な家族を亡くした遺族が裁判までしなければならない労災補償制度は納得できません」として、「同じ不幸を繰り返さない為にもシステムエンジニアの労働条件の改善と過労死を防ぐ法案の制定を国にお願いしたい」としています。
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