2011年3月26日(土)「しんぶん赤旗」
「おっかないけど古里に」
岩手県野田村
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岩手県北部の野田村では、防潮林の倍ほどの高さの波しぶきをあげた大津波が押し寄せ、町をのみ込みました。
壊滅的被害をうけた城内地域は、溶けたガラスのようないびつな形をした車やガードレール、がれきにいまも覆われています。死者35人、安否不明者は2人(25日正午現在)。村内の下水道は一部を除いて復旧せず、60を超す仮設トイレを各所に設置。村は風呂や生活排水も使用しないよう呼びかけています。
ある女性(72)は、娘(40)とともに村内のお寺に避難しています。「地震イコール津波」「普段からびくびくしていた」という言葉通り、取るものもとりあえず逃げました。直後、35年暮らした自宅は跡形もなくなりました。いまの要望は「住む場所」。仮設住宅への入居を希望しています。
県から、内陸部にある宿泊施設に一時暮らす意思を問われましたが、車は流され、かかりつけの病院も遠くなるので、「行きたくない」といいます。「おっかないけど、生まれた野田に住みたい」
小田祐士村長は「15〜20メートルの防潮堤を造ってもらわないとここに人は住めない」と語ります。8メートルの堤防を12メートルにかさ上げしていた最中の大津波。8メートルだった堤防が壊れました。「生まれ育った人間はいったんは避難するが、戻りたい人が多い。もう一回地域で頑張りたい、それが住民の気持ちです」(竹原東吾)