2011年3月26日(土)「しんぶん赤旗」

大震災被災地

ガソリン不足 なぜ?

製油所・ローリー車 合理化で大幅減


 東日本大震災の被災地でガソリンなどの石油製品の深刻な不足が起きています。背景に、供給を担う石油元売り会社が生産設備の削減・合理化を進めてきたことがあります。

 転機になったのは1996年。特定石油製品輸入暫定措置法(特石法)の廃止です。この法律は、ガソリン、軽油など石油製品の輸入業者に国内で石油精製施設を備えることを義務付けており、事実上、大手石油精製会社しか石油製品を輸入できませんでした。同法の廃止で、精製会社以外の商社なども輸入や国内販売ができるようになりました。

 ガソリン、軽油の輸入自由化により、石油業界は合併や経営統合など再編の動きが活発化。それに伴い、石油精製、元売り各社は、製油所など設備の削減も加速させました。95年当時、全国で44カ所あった製油所は、2011年には27カ所と4割も減少しました。石油製品を一時的に貯蔵する油槽所も93年の600カ所から04年には190カ所と3分の1以下に減少。タンクローリー車もこの4年で3割減っています。

 製油所の配置の偏りにも問題があります。東日本にある製油所は9カ所。そのうち大震災直後に6カ所が稼働を停止し、供給は大幅に細りました。現在は千葉、神奈川にある3カ所の製油所が生産を再開させています。東北6県の生産拠点となってきたJX日鉱日石エネルギー仙台製油所(宮城県)の稼働停止が決定的な打撃となりました。石油各社が大消費地である首都圏などに製油所を集中させてきた結果です。

 大規模災害時のバックアップ体制にも課題を残しています。95年の時点では日本海側にも製油所が5カ所ありましたが、現在は新潟県にある帝石頚城(くびき)製油所1カ所になっています。今回の大震災では太平洋岸の製油所が次々と操業停止に追い込まれ、それを日本海側の製油所でカバーすることはできませんでした。





もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp