2011年3月24日(木)「しんぶん赤旗」
09年衆院選は違憲状態
最高裁判決 投票価値の平等に反する
1票の格差が最大2・30倍だった2009年8月の衆院選は違憲として、弁護士らが選挙無効を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允長官)は23日、各都道府県に1議席を割り振る「1人別枠方式」について「投票価値の平等に反する」と述べ、選挙は違憲状態だったと判断しました。選挙無効の請求は退けました。
最高裁が衆院選を違憲状態と判断するのは1993年の大法廷判決以来で、現行の小選挙区比例代表並立制では初めて。竹崎裁判長は法廷で「速やかに別枠方式を廃止する必要がある」と異例の付言をしました。違憲状態は、竹崎裁判長ら12裁判官の判断。
判決は1人別枠方式について、小選挙区制の導入時に人口の少ない県の定数が急減するのを防ぐ意義があったとする一方、制度が定着した段階で合理性は失われると指摘しました。その上で、制度導入後初めての選挙から10年以上が経過し、区割りの見直しも行われた09年選挙の時点では、既に憲法に違反する状態に至っていたと判断。格差が2倍以上の選挙区数も増加しており、同方式に基づいた選挙区割りも違憲状態だったとしました。
小選挙区制は直ちに廃止を
穀田国対委員長
日本共産党の穀田恵二国対委員長は1票の格差をめぐる最高裁判決(23日)について次の談話を発表しました。
本日、最高裁大法廷が、2009年総選挙の小選挙区選挙における2倍を超える「1票の格差」について、「違憲状態」との判断を初めて示したことは重要である。現行の衆院小選挙区における選挙区間の人口格差は、昨年の国勢調査速報値では2・524倍にのぼっている。こうした実態は、格差2倍未満とする現行法にも違反するもので一刻も放置できない。憲法上の要請である「投票価値の平等」を実現するため、抜本的是正をはかることは、国会の責務である。同時に、重要なことは、多様な民意を議席に正確に反映できる選挙制度に改めることである。その点で、議席に結びつかない「死票」が過半数を超える小選挙区制は最悪の非民主的制度であり、直ちに廃止し、比例代表的な制度に改めることを提起したい。ましてや比例定数の大幅削減などは、民意の反映を一層狭めるものであり断じて認められない。
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