2011年3月24日(木)「しんぶん赤旗」
被災者支援より米軍「思いやり予算」
25日採決狙う民・自・公
笠井議員 反対を主張
民主、自民、公明3党は、米軍「思いやり予算」特別協定の年度内の国会承認にむけ、衆院本会議での質疑を省略し委員会付託にすることを決定しました。23日の外務委員会理事会でも日本共産党などの反対を押し切って25日に委員会採決を行うことを決めました。
発端は、民主党の岡田克也幹事長が14日、大震災を受けた国会対応について野党に要請したこと。2011年度予算案と一部の予算関連法案、子ども手当などのつなぎ法案の成立とともに、「思いやり予算」協定の承認まで求めました。これに自民、公明両党が呼応したものです。
日本共産党の笠井亮衆院議員は23日の外務委員会理事会で、「特別協定は本会議での質疑を行う重要広範議案だ。十分な審議をしないで押し通すのは認められない」と批判。民主党が「(震災で)支援してくれている米軍への配慮も必要」などと述べたのに対し、笠井氏は「5年間も『思いやり予算』を出し続けるのは筋違いだ。世界中が支援し、国をあげて救援・復興に取り組まなければならない時でありきっぱりやめるべきだ」と反対を表明しました。
同協定は、今後5年間で、総額1兆円近い規模の「思いやり予算」を在日米軍に支払うことを前提にしています。現協定が3月末に期限切れとなるため、前原誠司外相(当時)とルース駐日米大使が1月21日に署名し、2月1日に衆院に提出されていました。
特別協定の対象となる米軍基地労働者の給与や基地・施設光熱費などを含めて年間約1900億円の税金がつぎ込まれます。
自公政権時代は3年間の協定だったのが、民主党政権にかわり5年に延長。しかも、米軍機のグアムなどへの訓練移転費まで日本側が負担することになっています。
笠井議員は2月28日の衆院予算委員会で、「思いやり予算」特別協定が始まった1987年度は在日米軍駐留関連経費の総額が3401億円だったのが、2009年度には6956億円にまで膨れ上がっている実態を告発し、政府の姿勢を批判しました。
東北、関東地方は、未曽有の大地震・津波災害に襲われ、福島第1原発事故の被害も加わって、政府が23日に発表した試算では、今回の震災被害は最大25兆円に達します。阪神・淡路大震災の10兆円を大きく上回ります。本来、日本が支払うべき義務のない「思いやり予算」など、不要・不急の支出は大胆に削り、復興に回すべきです。