2011年3月23日(水)「しんぶん赤旗」
追跡 計画停電
政府 東電に丸投げ
日本共産党 大口への指導要求
東日本大震災による電力供給減を受け、東京電力が14日から首都圏で実施している計画停電は、22日の連休明けから2週目に入りました。鉄道運行本数の削減や見通しのつかない停電にいらだちや批判が強まっています。しかし、東電はいまのところ、計画停電を続ける考えです。
計画停電は、法律に基づく措置ではありません。東電の「電気供給約款」で「非常変災の場合」に電気の使用を制限、中止できると定めているのが根拠です。
東電によると、震災前の供給力約5200万キロワットに比べて22日時点での供給能力は3550万キロワット。同日のピークとみられる午後6〜7時の需要予測は3700万キロワット。この差を計画停電で乗り切る必要があるといいます。
しかし、地域を決めて送電を止める計画停電に対しては、自分の家がどの地域に入っているか、何時から停電されるのか分かりにくいとの苦情が相次いでいます。企業の側からも生産活動の見通しがつかないと不満の声が出ています。
菅直人首相は、東電が計画停電を決めた際、国民生活への影響にまったく言及することなく、ただちに承認。負担を誰がどの程度負うのかの検討もなく、東電に丸投げしました。東電の2009年販売電力のうち主に家庭用である電灯契約は34%。残りは業務・産業用。特に62%を占めるのが、高圧以上で受電する契約電力50キロワット以上の「特定規模需要」です。
日本共産党の佐々木憲昭衆院議員は20日開かれた各党・政府震災対策合同会議の実務者会合で、大口需要者である大企業を適切に指導することを政府に求めました。
計画停電に代わる手段として考えられるのが電気事業法による規制です。同法27条と施行令によれば、経済産業大臣が500キロワット以上の大口需要者に一定期間、電気の使用制限を命じることができます。
資源エネルギー庁は同法の発動に否定的ですが、財界からも経済同友会が使用電力の総量規制を提案するなど、計画停電の見直しを求める声が上がっています。 (山田俊英)