2011年3月23日(水)「しんぶん赤旗」
福島原発事故
電源復旧が焦点に
地震、津波で電源を失った
Q 東京電力福島第1原発で電源復旧が進められているのはなぜ?
A 原発は電気をつくりだしていますが、原発を動かす電気は自分で賄っているものではありません。福島第1原発は東電の送電線から供給された電気を使って動いていました。しかし、地震で送電設備が壊れて電気の供給が止まり、緊急時に、必要な電気を供給するための非常用ディーゼル発電機も津波で動かなくなりました。
運転中だった1〜3号機は地震で緊急停止したものの、電気が使えなくなったため、原子炉や、使用済み核燃料プールを冷やすことができなくなりました。1〜3号機の原子炉では燃料棒が熱で壊れて溶け、3、4号機の使用済み核燃料プールでは水が蒸発して壊れた燃料棒から放射性物質が外部に放出される、日本の原発ではかつて経験したことのない重大な事態が起こっています。
冷却機能使えデータ取得も
Q 復旧でどんなことが期待できるの?
A 現在、原子炉には消防車で海水を注入し、使用済み核燃料プールにはやはり消防車などを使って海水を放水していますが、原子炉内の燃料も、使用済み核燃料プールの燃料も冷やす必要がなくなるまでには、長い年月を必要とします。外部電源が使えれば、各号機に備わっている、本来の冷却機能を使って原子炉に水を注入したり、使用済み核燃料プールの水を冷やすことができるようになる可能性があります。
現在、原子炉内でどんなことが起こっているか把握することがむずかしい状態ですが、電源が復旧し、中央制御室でさまざまなデータを取得できるようになれば、異常な箇所と正常な箇所の見極めがつくなど、的確な対応ができるようになるといいます。
しかし、地震や津波の影響で機器が損傷したりしていれば、それを交換しなければならず、照明がつかず、暗い中での作業のため、冷却機能の回復や中央制御室の機能が回復するまではまだ時間がかかるとみられています。
1、2号機の内部に通電へ
Q 復旧はどこまで進んだの?
A 近くを通っている東北電力の送電線から電気を引き込む形で進められており、22日には、既に外部電源を配電盤まで接続していた2号機から1号機にも供給。23日中に、両号機で内部設備への通電を目指すとしています。
使用済み核燃料プールへの放水が行われている3、4号機についても22日、外部電源からのケーブルを引き込む作業を実施し、4号機では通電を確認しました。
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