2011年3月22日(火)「しんぶん赤旗」

学校・仕事…今後が不安

双葉町の原発避難者

“仲間を考えないと”

埼玉


 福島原発の事故により福島県双葉町などから、さいたまスーパーアリーナ(さいたま市)に避難してきた人たちは21日、ボランティアの支援などに安堵(あんど)の表情を浮かべる一方、今後の生活への不安を口にしました。


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(写真)昼食のおにぎりや果物などを受け取る避難者=21日昼、さいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナ

 アリーナには福島県を中心に約2500人が避難しています。双葉町の農業の男性(63)は、町役場丸ごとの避難に合わせ埼玉にきました。被災直後から福島県内の避難所を転々としアリーナで5カ所目です。置いてきた飼育中の和牛(肉牛)約60頭については「あきらめるしかないだろう」と話します。「放射能のことがあるから、(農作物など)何を作っても売れないだろう。帰ったあと、どうやって生活していくかが心配だ」と語ります。男性は近隣の肉牛農家のまとめ役でもあります。「自分の生活も心配だけど、仲間のことも考えないといけない。町としてまとまって動かなければ」と話しました。

 南相馬市から夫、息子と避難してきた病院職員の女性(30)は、いったん同市外に避難したあと、アリーナに来ました。心配は、4月から小学1年生になる息子の学校が今後どうなるか分からないことです。お金も心配でなりません。職場だった病院も被災したため、帰ってからもすぐに元の職場に復帰できるのか、まだ分からない状態です。

 いわき市から来た老夫婦は、ほとんど着の身着のままで避難してきました。夫は手足のしびれで以前から病院に通っていましたが、その病院が被災してしまいました。妻は足が弱いため車いすを借りていますが、入浴にいけない状況です。「早く家に帰りたい」と妻は訴えました。

 埼玉県によると、アリーナでの避難者受け入れは31日まで。4月以降、双葉町関係者は旧県立騎西高校(埼玉県加須市)の校舎を使用します。双葉町以外からの避難者も受け入れ先の確保につとめるとしています。(埼玉県・林秀洋)





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