2011年3月22日(火)「しんぶん赤旗」
主張
避難所生活
温かい食事を、風呂を、布団を
東日本大震災から10日たちました。未曽有の大災害です。被害の全体像も明らかにならないまま、被災者の救援と最悪の原発事故への対策が続けられています。
寒さや雨のなか、食料品や水、燃料にも事欠く、避難所での生活はきびしい限りです。避難が長引き、健康の破壊も現実のものとなっています。せめて温かい食事を、お風呂を、手足が伸ばせる寝場所をと願わずにはおれません。
生きること自体脅かされ
大地震や大津波で自宅が壊され、被害を受けて避難を余儀なくされた人と、東京電力の原発事故で避難を指示された人を合わせ、避難している人は数十万人に上ります。避難所にたどり着けず、孤立したままの人もまだいます。
被災地が広範囲なだけに、避難所の実態もさまざまです。遠隔地の公共施設や旅館・ホテルなどに入れた人もいますが、多くが交通もままならない被災地で、支援物資も十分届かず、不自由なくらしを送っています。現地からの報道が伝えるように、燃料の灯油や衣料、食料品が足りず、きびしい寒さのなか、生存そのものが脅かされている避難所もあります。
なれない避難所での共同生活は、プライバシーもなく、感染症の危険も高いなど、人間らしい生活とは程遠いものがあります。もともと被災者の救助は「災害救助法」で国が地方公共団体などと協力しておこなうものです。未曽有の大災害に対し、政府が責任を持って支援するのは当然です。
大阪や京都から多くのボランティアが駆けつけることができた阪神・淡路大震災などとは違い、多くの被災地ではまだ受け入れの態勢も整わず、民間の支援も限られます。各避難所で住民の自主的な組織もできつつありますが、ぜひ国が責任をもって支援して、被災者にせめて温かい食事やお風呂を提供できるようにすべきです。
温かい食事は心を落ち着かせます。これまでの震災でも、炊き出しの温かい豚汁でどれほど心が癒やされたことか。また、冷え切った体にとって、温かいお風呂ほどありがたいものはありません。地震以来お風呂に入れない人もいます。仮設のお風呂をつくるとか、多少遠くても温泉などを利用する方法はないか。ぜひとも温かい食事とお風呂をと、切に願います。
避難所では、トイレや着替えにも不自由な思いをしている方もいます。突然の地震と津波で、着の身着のまま避難したという方もいるでしょう。せめて夜ぐらいはゆっくり手足を伸ばしてと思っても、体育館などの冷たい床ではそういきません。せめて下に1枚敷物でも敷いて、寒くて目がさめる思いをしなくてすむようにしてあげることが急務です。
地域のつながり大切に
全国の自治体から被災者を受け入れるとの申し出が相次いでいるのは吉報です。しかし、被災地を遠く離れれば、情報も入りにくくなります。なにより安否が分からない人を残して遠くへ移動できないという思いも尊重する必要があります。
阪神・淡路大震災でも、住み慣れた近くに避難していたいという思いは切実でした。今後の生活再建や復興のためにも、地域とのつながりが大切です。住み慣れた地域のつながりが維持できる避難方法を、政府は探求すべきです。