2011年3月21日(月)「しんぶん赤旗」
福島原発事故 そこが知りたい
東日本大震災で被災し、日本の原発では経験したことのない重大な事態が刻々と進行する東京電力福島第1原発―。いま起きている事態をわかりやすく解説します。
Q 福島第1原発で放水を続けているのはどうしてなの?
A 1〜6号機まで、原子炉が入っている建物(原子炉建屋)には、水の中に使用済み核燃料を沈めているプール(使用済み核燃料プール)があります。通常は、水を冷却して使用済み核燃料が熱くならないようにしていますが、今回の地震で冷却できなくなりました。
そうなると、使用済み核燃料がどんどん熱くなって、内部に入っているプルトニウムや核分裂生成物といった放射性物質が外部へ大量に放出される危険性があります。
3号機と4号機では、水が蒸発して使用済み核燃料がむき出しになっていると考えられています。そのため、使用済み核燃料プールに水を入れようと放水が行われています。
Q 核燃料は使用済みなのになぜ熱くなるの?
A 使用済みといっても、内部にはさまざまな放射性物質がたくさん入っていて、「崩壊熱」という熱を出し続けています。冷やさないで放っておけば、使用済み核燃料の温度はどんどん上昇して、使用済み核燃料が熱で壊れてしまいます。また、燃料を覆っているジルコニウム合金製の被覆管が壊れて水蒸気と反応して水素が発生し、「水素爆発」を起こす恐れがあります。
Q 原発の敷地の中で非常に強い放射線を観測しているのはどうして?
A 4号機で「水素爆発」とみられる爆発が起こった直後、隣の3号機付近で1時間当たり400ミリシーベルトの非常に強い放射線量を測定しました。東電は、爆発で4号機の建屋壁面の残骸や、使用済み核燃料プールの水が飛び散ったのが原因だと説明しています。
Q 使用済み核燃料プールってどれぐらいの大きさなの?
A 原子炉によって少し違っていますが、深さが10メートル以上、水だけなら1000トン以上入れることができます。核燃料は、直径1センチ、高さ1センチほどの小さな円筒形のペレットに固められていて、これを長さ4メートルほどのジルコニウム合金でできた燃料被覆管の中にいくつも詰め、燃料棒にします。
1号機の使用済み核燃料プールには燃料棒が292本、2号機には587本、3号機には514本、4号機には1331本、5号機には946本、6号機には876本が入っています。
Q 放水はいつまで続けたらいいの?
A 使用済み核燃料は長い間崩壊熱を出し続けます。このため、使用済み核燃料は冷やし続けなければなりません。しかし、ヘリコプターや消防車による放水を長期間続けることは、敷地内の放射線量が高いことなどから困難です。
電源を確保し、本来の冷却機能を回復させることができれば、外部から放水する必要はなくなります。
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