2011年3月20日(日)「しんぶん赤旗」
焦げた臭い 漂う町
岩手・山田 食料も毛布もまだ不足
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東日本大震災で津波と大火災に襲われた岩手県山田町に19日午後、本紙記者が入りました。町は地区の大半が壊滅状態で、いまだに焦げた臭いがただよっていました。
町災害対策本部は、19日午前9時までに352人の死亡を確認し、安否不明者は「多数」とだけ発表しています。山田町の人口は約1万9000人。避難者は約5700人です。
町役場で集められている写真やアルバムを見ていた男性(26)は、母親の死亡届を出し終わったところでした。2人で海岸のそばに住んでいました。
「3、4メートルの、水というよりがれきの壁が、すごい破壊音をたてて家に迫ってきた。母は1階にいて僕は2階。僕は屋根に乗り、流されましたが助かりました」
男性は役場にくるたびに「漂流物」置き場で母親の写真を探しています。
同町では避難者の状況も深刻です。町によると、各地区で炊き出しをしているものの、避難者への食事提供は不十分。また、燃料やコメが底をつきつつある状態です。町は、燃料、食料、毛布、紙おむつ、生理用品、カイロ、トイレットペーパー、衣類、懐中電灯・電池などの支援が必要だとしています。電力の復旧作業が進められています。 (洞口昇幸、井上歩)