2011年3月20日(日)「しんぶん赤旗」
福島原発 3号機の放水続く
1・2号機 外部電源を接続
東日本大震災で被災し、放射能漏れが続く東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)では、19日、電源復旧作業や、使用済み核燃料プールへの放水が行われました。
1〜6号機まで6基の原子炉がある同原発では、地震とそれに伴う津波で、外部電源を喪失。非常用のディーゼル発電機も動かなくなったため、炉心や使用済み核燃料の冷却ができず、「炉心溶融」や「原子炉格納容器の損傷」「大量の放射性物質の放出」という重大な事態が各号機で同時に進行しています。
冷却機能を取り戻すため、19日午前、東電社員らが外部電源をケーブルで1、2号機に接続しました。本来の冷却装置を動かすことで、炉心と使用済み燃料プールを安定して冷やすことを目指しています。
しかし、接続できても各種冷却ポンプが故障している可能性もあるため、外部電源を使った冷却ができるようになるかどうかは、現在のところ不明です。
停止していた6号機の非常用ディーゼル発電機1台が19日復旧。既に動いていた1台と合わせ、5、6号機の使用済み核燃料プールの水の循環が可能になりました。5号機では冷却機能が回復したことが確認されました。
自衛隊のヘリコプターや消防車を使って始まった3号機の使用済み核燃料プールへの放水は3日目となりました。19日未明に東京消防庁のハイパーレスキュー隊が約60トンを放水。同隊は、午後2時すぎからも放水しました。
枝野幸男官房長官は午後の会見で、3号機の使用済み核燃料プールについて「一定の注水に成功したとみており、現時点では一定の安定状況にある」と述べました。
しかし、放水は、同じく冷却水が蒸発している4号機と合わせ、今後も続ける必要があります。自衛隊は4号機への放水を検討しています。大阪市消防局は19日、総務省消防庁の要請で緊急消防援助隊の派遣を決めました。
3号機付近では18日午後5時、1時間当たり150ミリシーベルトの高い放射線量が測定されました。東電によると、通常の被ばく上限100ミリシーベルトを超えた社員が6人います。国が特例として上限を250ミリシーベルトに引き上げたため、屋内で引き続き作業しているといいます。
経済産業省原子力安全・保安院と東電は、3号機とともに、冷却水が蒸発している4号機で、放水により損傷した使用済み核燃料からの放射性物質の放出を抑えれば周囲の放射線量が下がり、作業がしやすくなるメリットもあるとみています。
また、東電は、使用済み核燃料プールから発生の恐れのある水素ガスを逃がすため、5、6号機建屋の屋根に直径30〜75ミリの穴を3カ所ずつ開ける作業を行いました。
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