2011年3月19日(土)「しんぶん赤旗」
安否確認 頼りは足だけ
子ども・教職員 多数不明
宮城・名取市
大震災から1週間。宮城県名取市の大沼宗彦市議は、雪や風をついて各避難所を回っています。
大沼市議は元教師。被災した2日間は、身内が見つからない子どもたちの支援のために児童センターに泊まりました。「身内が見つからないでいた子どもも、小学生のお兄ちゃんが迎えに来て、一緒に親戚を頼って行ったようだ」と話します。
避難所の館腰小学校では、「絵本やおもちゃがほしい」という要望にこたえ、町内会で集めて2回届けに行きました。中学生や高校生が、運ばれてくる物資を配るボランティアを始めたところもあります。
しかし、支援は避難所によって大きな差があり、家族の安否確認も自分の足だけが頼りです。「教職員が救援活動にあたっていますが、ガソリン不足で家に帰れないままの人もいます。ガソリン、灯油、食料、確かな情報の確保が急務です」と大沼市議は話します。
宮城県教職員組合役員の中学校教師は「被災の全容がつかめない。安否が未確認のままの子どもも教職員もまだ多数います」と言います。
海沿いの学校の多くが避難所になり、1日3交代で教職員が中心となって支援活動にあたっています。「身内の安否もわからないまま、支援に従事する教職員もいる。疲労もかなりたまっており健康状態が心配です」
組合は県教育委員会に対し、教師の人事異動の内示を急がず、被災地の学校では人事異動すべきではないと要望しました。しかし県教委は18日、内示を強行しました。前出の中学校教師は「家や家族を失った子どもの行き先の確保や心のケア、公立高校の入学金免除など、現場の要望に基づいて対処してほしい」と話しています。(堤由紀子)