2011年3月19日(土)「しんぶん赤旗」
“津波で薬失い 飲めない”
避難所の湊小学校 6割が高齢者
宮城・石巻市
東日本大震災発生から1週間がたち、避難所生活でストレスを抱えるお年寄りも少なくありません。現地では、医療や介護の援助を求める声が強まっています。
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党市議が支援を訴え
18日、刺すような冷たい風が吹き抜ける宮城県石巻市の市立湊小学校。津波のため、泥の海となった道路を歩く男性(85)と妻(76)。荷物を自宅に取りに行った帰りです。2人の履物は、長靴ではなくサンダル。靴下は泥水でぬれています。氷が張る水たまりもあります。
家は避難所のある湊小学校のすぐ横ですが、ぬかるみをさけての遠回りです。不整脈の持病を持つ男性は5メートルほど歩くたびに立ち止まり、肩で息をします。
正門前を過ぎた時、2人に話しかけたのは、日本共産党の庄司慈明石巻市議。小学校にある避難所の対策本部長です。
その後、夫妻は、割り当てられた4階の教室まで、何度も立ち止まりながら、あがっていきました。
妻は「いま一番ほしいのは長靴。他のみんなも要望しているけど、なかなか届かない」と目を赤くして話します。
男性は「津波で薬もなくなり、8日間、薬を飲んでない。避難所を回る医師に診てもらったが、適応する薬の種類がわからず処方してもらえなかった。かかりつけの先生に診てもらうまで待たなければいけないのか」といいます。
現在、湊小学校には約700人ほどが避難。6割ほどが高齢者といいます。周辺には、車内や壊れた家で暮らす人が2300人ほどいるとみられます。
庄司市議は「特に深刻なのは医療と介護。避難所では、震災のストレスから夜中になるとパニックや徘徊(はいかい)するお年寄りもおり、私たち素人ではケアしきれない部分も出ています。この支援をお願いしたい」と訴えます。
石巻市立鹿妻小学校の体育館も避難所となっています。
そこに避難する男性は、歩くのが不自由で認知症を抱える妻のトイレに付き添います。
男性は「ふだんは車椅子を使っていた妻は歩くのが大変。避難所では限界がある。ショートステイを使えないだろうか」といいます。
市内のある特別養護老人ホームの女性職員は「職員自身が被害に遭い、施設の人手が足りない。今の入所者への対応だけで手いっぱいで、ショートステイを受け入れる体制にない」と、申し訳なさそうに説明していました。(矢野昌弘)