2011年3月19日(土)「しんぶん赤旗」
原発事故 鎮静へ総力
学術会議が緊急集会
日本学術会議(金沢一郎会長)は18日、東京都港区の日本学術会議講堂で、東日本大震災とその後の原発事故に対して学術の立場からどんな貢献ができるのかを考える緊急集会を開きました。
「今、われわれにできることは何か?」と題した集会には、学術会議会員をはじめ190人が参加しました。
金沢会長はこの日発表した学術会議幹事会の声明を引いて、「今回の災害が顕示した日本の社会・経済システムの脆弱(ぜいじゃく)性を謙虚に受けとめ、その改善の方策を真しに模索して、次代に安心して引き継ぐことができる新しいわが国の社会を構築するために科学と技術を活用する方法を、社会に向けて説明する責任を自覚して行動する」とのべ、「具体的に何ができるのか、議論したい」とあいさつしました。
福島第1原発の状況について報告した田中俊一・元原子力委員会委員は、住民に対する情報提示と日本全体の知恵と能力の活用が課題であり、事態は切迫しており、「わが国の総力を挙げて事故の鎮静化を」と訴えました。
会員などからは「情報コントロールが激しくなっている。学術会議と政府の情報交換を急いで」「被災地が広域で情報が偏っている」「日本の能力が発揮できていない」など現状の問題を指摘する意見が出されたほか、「今すぐ政府に意見をあげる体制を」「先導して政府と協力して被災地の復興のグランドデザインをつくるべきでは」「専門性を生かして課題別に作業グループをつくろう」「外国のアカデミーと一緒になって対応を」など、さまざまな提案が出されました。
これらの意見を受けて、学術会議に災害対策委員会を設けて、政府に提言するなどの活動を行うことになりました。