2011年3月18日(金)「しんぶん赤旗」

主張

大震災1週間

考えうる全ての対策総動員を


 3月11日午後2時46分ごろ、マグニチュード9・0。東日本に重大な被害をもたらしている大地震の発生から1週間たちました。被災地はいまだに被害の全容さえ把握できず、膨大な被災者に支援の手が届かないありさまです。

 しかも被災した東京電力福島原発では、第1の1〜4号機などで原子力の冷却能力が失われ建屋や格納容器そのものが破損され、高レベルの放射性廃棄物が飛散する最悪の事態が続いています。

 被災者は雪や寒さにも苦しめられ、避難所で亡くなる人もでました。被害の拡大を防ぎ被災者を支援する対策は、寸刻を争います。

悲惨さを極める被災地

 あとかたもなくなった町でがれきに埋もれる数多くの遺体、降り積もる雪の中、なすすべもない被災者―被災地の現状は、悲惨さを極めています。

 発生から1週間たっても被災の全容さえ明らかにならないこと自体かつてないことです。被害の大きさを示すものです。過去最大級の地震と10メートルを超した大津波で東北地方と関東の広い範囲が被害を受け、三陸海岸の多くの地域で地域そのものが崩壊しました。亡くなった人と行方不明者が分かっただけでも1万人をはるかに超え、全半壊した住宅も数万戸に上るという断片的な数字だけでも、被害の大きさは明らかです。

 もともと被災地が広いうえ、被害が大きかった海岸部への内陸からの交通手段が限られること、地震や津波の被害に、原発からの放射性物質の飛散が拍車をかけていること、加えてこの地方でも季節はずれといわれる雪と寒さ…。これまでの震災とも違うさまざまな要因が、被災者の救援の障害となっています。しかし、そうしたことで助かるはずの人命を失うわけにはいきません。

 とりわけ急がれるのは、避難した人たちへの救援です。地震や津波で住まいを奪われた人だけでなく、原発震災で避難を指示された人たちを含め、避難した人は数十万人の規模です。食べ物を、医薬品を、衣類を、暖房のための灯油や移動のためのガソリンを急いで手配する必要があります。

 寒さによる低体温症や、長い時間、体を動かさないためのいわゆる「エコノミークラス」症候群など、せっかく地震や津波で助かった命が、避難先で損なわれるのはあってはならないことです。

 学校などの避難所にいる人、壊れた自宅にとどまっている人、つてを頼って被災地を離れる人など、全ての被災者に救援が必要です。とりわけ病気を抱える人や障害者、高齢の人や妊婦、幼い子どもたちには、特別の配慮が必要です。高齢者にはホテルや旅館を利用するなど工夫の余地があります。

全国民が力を合わせて

 原発の被災は、周辺の住民の生命と健康を脅かすとともに、救援や今後の復興活動を困難にするうえでも、まったなしに解決しなければならない課題です。政府と東電は、事態の悪化を食い止めきれていません。本来原発の安全性に責任を持つ原子力安全委員会のもとに、専門家のあらゆる知恵と力を結集すべきです。

 被災した地域と被災者の生活再建のためにも、当面の救援がかぎになります。すべての国民が自分のこととして被災者の苦難に思いをはせ、力を合わせるときです。





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