2011年3月17日(木)「しんぶん赤旗」

東日本大震災

低体温と血栓に注意

救急専門医などが呼びかけ


 東日本大震災の被災地では厳しい寒さがつづき、避難所でも暖房や毛布などが足りないところが多いことから、日本登山医学会所属の救急救命専門医が低体温対策の重要性を呼びかけています。

 低体温症は、体の外に奪われる熱が多いときに体温が維持できずに起こります。避難所などの室内や、それほど寒くない環境でも栄養が足りなかったりすると起こり、命にかかわる場合があります。

 低体温症になりやすいのは▽お年寄り、子ども▽糖尿病、脳梗塞などの持病がある人、けがをしている人▽健康な人でも栄養不足や過労になっているとき▽水分不足のときなどです。

 サインは、手足が冷たくなったり、寒くて体が震えることです。震えは熱を上げるエネルギーが残っている証拠で、このときに改善するのが一番安全で早道です。

 震えが始まったら、▽冷たいものへの接触、風を避ける。衣類がぬれているときは脱いで、毛布にくるまる。帽子、マフラーなどで保温に努める▽体温を上げるカロリー補給をする▽脱水症状を防ぐために水分の補給を欠かさないなど。毛布などにくるまるときは1人より2、3人の方が温まります。

 震えがなくても低体温症になっている場合もあります。つじつまの合わないことをいう、ふらつくなども重要な症状です。震えていた人が温まらないまま震えがなくなったり、意識がもうろうとするのは重症の証拠です。病院に搬送できない場合、わきの下や首すじ、足の付け根などに、42度までのお湯を入れたペットボトルなどをあてて温めます。

 狭い車中での宿泊では肺塞栓(そくせん)症(エコノミークラス症候群)による突然死の危険性が知られています。新潟大学の榛沢和彦医師の中越地震後の調査では、震災2週間以内の被災者78人(車中泊68人)のうち、38%でふくらはぎの血管に血栓が見つかり、とくに3泊以上の車中泊者に集中していました。車中泊はできるだけしない、余儀なくされている場合は連泊しない、足をのばして寝るなどが大切です。

 避難所での生活でも、同じ姿勢を長時間とることは避ける、適度に体を動かす、ふくらはぎをよくもむ、水分摂取をがまんせず、適切にとるなどの注意が必要です。





もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp