2011年3月17日(木)「しんぶん赤旗」
核エネルギー 再検討の動き
中南米でも広がる
【メキシコ市=菅原啓】中南米では、日本の大震災と原発事故が連日大きく報道される中、原発推進計画を再検討する動きが表面化してきました。
中南米では、原発を稼働させている国はメキシコ、ブラジル、アルゼンチンの3カ国しかありませんが、近年、エネルギー不足を解消するために、原発の拡大や新設を検討する国が増えました。
メキシコでは、つい最近も、電力会社の幹部らがメキシコの発電が天然ガスに依存しすぎているとして、今年前半にも新しい原発建設の決定を行うべきだと表明していました。
この問題を管轄する同国エネルギー省のペテルセン・エネルギー計画技術開発担当副大臣は14日の記者会見で、日本の原発事故を受けて、原発新設について「決定は見直しに入ることになるだろう」と語りました。
チリ政府は、鉱山などでの電力需要の高まりを受けて、将来的な原発設置を検討しており、今月下旬のオバマ米大統領の訪問時に米国と原子力技術協力協定を結ぶ予定となっていました。
しかし、昨年2月に大地震に見舞われたチリでは、今回の日本の地震と原発事故が深刻に受け止められ、原発推進を懸念する声が高まっています。
ピニェラ政権の与党・独立民主連合(UDI)のハイメ・オルピス上院議員は15日、「日本で地震が発生するまで、私は原子力推進の賛同者だったが、いまでは疑問をもつようになった」と発言。政府は米国との協定を予定通り締結する方針を崩していませんが、与党内からも異論が上がりつつあります。
環境団体グリーンピース・チリの幹部サムエル・レイバ氏は、「われわれは、とりわけ地震活動の頻繁なチリにおける核エネルギー開発に反対する」と表明しています。