2011年3月16日(水)「しんぶん赤旗」
東日本大震災
ガソリン不足 介護に影響
東日本大震災の被災地のガソリン不足は市民生活のあらゆる分野に大きな影響を与えています。高齢者介護の現場も深刻です。
仙台市泉区にある長命ケ丘ヘルパーステーション。同ステーションの活動地域は地震による直接的被害は比較的軽くすんだといいます。影響が出ているのは訪問支援です。半径15キロのエリアで50人の職員が車で140人の訪問支援をしていますが、ガソリン不足でわずかしかできなくなっているといいます。
山岸澄江所長(56)によると、医療度の高い利用者が薬を飲んだかどうかのチェックが欠かせないのにそれができない▽酸素吸入、たん吸引をしている人は自宅の小さな自家発電機で作動させているが、それを動かす軽油やガソリンが不足▽認知症の人は大地震の興奮だけが残って、地震があったと理解できていない人もいる▽ヘルパー訪問中に地震にあい家の中が散乱、ライフラインがストップしたので、ヘルパーが自分の家に利用者を連れて帰った―など現場は深刻です。
ヘルパーたちは、ガソリンを入れるために朝6時から並んだり、「介護ヘルパーは緊急車両扱いで優先的に入れてほしい」とスタンドに頼んで給油してもらったり、苦労の連続です。
山岸所長はいいます。「ライフラインの復旧は3日程度で何とかなると思っていました。電気が14日に復旧してテレビで深刻さが分かりました。もっと早く正確な情報がほしかった。地震の後、利用者さんが本当はヘルパーが来ないと困るのに、『非常時だからいいよ』と我慢しているのが伝わり、つらい思いです」 (柴田善太)