2011年3月16日(水)「しんぶん赤旗」
福島原発事故の対応について
志位委員長の緊急申し入れ (全文)
日本共産党の志位和夫委員長は15日、東京電力福島原発の重大事故への対応について、菅直人首相に緊急申し入れを行いました。全文は次の通りです。
東京電力福島原発をめぐる事故は、第1原発1号機に続き、3号機でも爆発が起こり、4号機で火災が発生し、さらに2号機では原子炉格納器の一部が破損するというきわめて重大な事態が引き起こされている。高濃度の放射性物質が広範囲に飛散、拡散することが強く危惧される深刻な状況である。
今回の事故にたいする対応について、原子力行政の推進機関である経済産業省の一機関である原子力安全・保安院まかせにするのではなく、経済産業省などから独立した中立的な立場で、専門家を結集し、担当行政機関および事業者を指導する役割を担っている原子力安全委員会の活動がきわめて重要になっている。
かつて1999年9月に発生したJCO臨界事故においては、原子力安全委員会が、専門的・技術的観点から事故対策に関する中心的な活動をおこなってきた。
わが国が批准している原子力の安全に関する条約でも、原子力行政の推進機関と規制機関を明確に区分し、原子力事故にあたっては推進機関から独立した規制機関が積極的な役割を担うことが義務づけられている。
今回の福島原発事故は、かつて経験したことのない深刻な事故であり、国民のなかに強い不安が広がっている。原子力安全委員会の役割をフルに発揮させるべく、以下、政府に申し入れる。
1、福島原子力発電所の事故への対応について、原子力安全委員会に第三者機関としての責務を果たさせるべきである。そのためにすべての情報を原子力安全委員会に集中するとともに、必要な権限をあたえるべきである。
2、原子力安全委員会と、そのもとにある専門部会や事務局体制をフル稼働させるとともに、あらゆる専門家、専門家集団の英知を結集して、事態の掌握と、危険の除去、安全対策をはかるべきである。