2011年3月16日(水)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
新潟の読者から、お便りをいただきました。東日本の巨大津波のありさまに胸が痛み、“もし新潟で同様の地震が起こり柏崎原発も被災したら”と考えてしまい、夜も眠れません、と▼停電で電源を失った被災に始まる、相次ぐ建屋の爆発。核燃料の空だき。使用ずみ核燃料の貯蔵施設の爆発・炎上。不安の震源地、福島第1原発の暴走をなんとしても食い止めなければなりません▼「巨大な原子炉はコンクリートのサイロ中に格納され、環境保護システムをもっている。たとえ信じられないようなことが起こったとしても、自動制御・安全装置が瞬時にして炉を停止させる」。旧ソ連チェルノブイリ原発の技師長が、世界に誇った言葉です▼しかし、事故は起こります。2カ月後の1986年4月。技師長が安全だと胸を張った当の4号炉で。実験の最中でした。停電した時、備えのディーゼル発電機でどうやって安全にうまく運転させるか▼福島原発は、型も危険度もチェルノブイリと違います。しかし、両方の事故に重なるところは少なくありません。ともに、「安全」に対する自信を持ちすぎていました。引き金は、同じ「電源」でした▼「日本の原発は安全」といってきた政府、電力会社や学者。対して、「危険」「安全といい切れない」といってきた学者や技術者。いま、どんな意見の持ち主でも知恵と力を結集できるしくみをつくる時でしょう。最悪の結果を避けるよう、世界にただ一つの被爆国が蓄える原子力技術の総力をあげて。