2011年3月15日(火)「しんぶん赤旗」
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計画停電 終日、混乱つづく
東日本大地震にともなう電力不足に対応する「計画停電」について東京電力は13日夜、14日午前6時20分から実施すると発表しました。鉄道各社は停電に備えて、始発から一部運休や短縮運行で対応しました。多くの通勤客が知ったのは当日朝。結局、午前中の停電は見送られましたが、鉄道各社は途中でダイヤを元に戻すことができず、朝だけでなく、夜の帰宅時まで大混乱が続きました。
利用客は震災のためということで黙々と列に並び、協力しましたが、電力会社の混乱に戸惑いや怒りの声が聞かれました。
東京・新宿駅では夜、利用客が構内にあふれ、危険防止のためホームへの入場が制限されました。午後9時ごろにはホームへの入場を待つ人が長蛇の列。
帰宅途中の男性(46)は、「朝、立川市の自宅から顧客のある代々木までいつもの倍の約2時間かかった」といいます。「電車の運行状況を知らされない。どういう状況なのか、もっと詳しい説明がほしい」と語りました。
渋谷区内で飲食店を経営する女性(59)は、「停電の時間が3時間程度というが長い。冷蔵庫の食材が悪くなってしまう」と不安を語りました。
新宿駅では、多くの利用客が翌日の運行見通しを駅員に尋ねていましたが、駅員も「東電から翌日の計画が発表されないとわからない」と当惑ぎみでした。
東電の混乱は午後5時から行われた停電後も続きました。当初、実際に停電したのは茨城県、静岡県のそれぞれ一部地域と発表しました。しかし、停電終了後、山梨、千葉両県の一部でも停電したと訂正しました。
計画停電は4月いっぱい続く見通し。15日の計画停電は第3グループから午前6時20分に開始すると発表されました。各グループごとに最大3時間程度停電します。午後10時に終了する予定です。
人工呼吸器 子どもの命は
きめ細やかな情報を
「きめ細やかな正確な情報を早く流してほしい」―。14日、突然の計画停電情報に対し、さいたま市の西村理佐さん(34)は語気を強めました。
長女の帆花ちゃん(3)は、出産時のトラブルで重度の障害があり、普段は人工呼吸器を装着してベッドの上で横になっています。
西村さんは二つある人工呼吸器のバッテリーに充電。それぞれ3時間使用できるといいます。酸素濃縮器が使えなくなるため、酸素ボンベに切り替えました。業者からは「供給が間に合わない」と、必要最小限のボンベしか融通してもらえませんでした。
西村さんは不安そうに話します。
「電気で子どもの命をつないでいます。できるだけ早く情報を提供してもらえれば気持ちが落ち着くのだけど…」