2011年3月15日(火)「しんぶん赤旗」
主張
東日本大震災
被災者支援 現地の切実な求めに応えて
マグニチュード(M)が9・0と記録的な大きさだった「東北地方太平洋沖地震」による東日本の大震災は、11日の地震発生から3日がすぎました。亡くなった人や行方不明者の数でも、自宅などが被害にあい公共施設などに避難を余儀なくされている人の数でも、かつてない規模に達することが明らかになってきました。
まだ見つかっていない人たちの救出は、一刻を争うものです。同時に被災した人たちの切実な求めに応えて、避難所や食事、燃料や日用品などへの緊急の支援を、直ちに実施すべきです。
被災地ではまだ多くの人たちが残され孤立しています。学校などの避難所に身を寄せた人だけでも数十万人に上ります。被害を受けた自宅などでじっと耐えている人もたくさんいます。生活を支える、水も、食べ物も、暖房用具も、圧倒的に不足しています。電気やガス、水道などのライフラインもまだ回復していません。
「水や食べ物が手に入らない。至急届けてほしい」「避難所でも夜の冷え込みがきびしい。暖房用の毛布やストーブの灯油がほしい」「毎日服用している薬が津波で流された」「赤ちゃんのミルクが底をつきそうだ」…。現地からの悲鳴が伝わってきます。
日本共産党の衆参両院議員や地方議員は手分けして被災地に入り、被災者の要望を受けています。被災者の声に耳を傾け、政府や自治体にも伝えていきます。「しんぶん赤旗」も、被災地に記者が入り取材を続けています。
被災地が比較的限られ、周辺から支援が集中できたこれまでの震災に比べても、今回の大震災は範囲が広く、限られた陸上のルートからの被災地入りもきわめて困難です。陸だけでなく空や海から支援を届けることを含め、政府の役割が大きくなっています。
阪神・淡路大震災でも、支援が滞り、避難所などの被災者まで届かないことがありました。とくに学校などに設けられた避難所だけでなく、近所などで身を寄せ合っている避難場所や、破損した自宅などで耐えている被災者にも届くよう工夫が求められます。
どこで支援が受けられるかの情報も不足しています。被災者に情報を届ける工夫もいります。地域が丸ごと崩壊し、自治体の機能が崩壊している市町村もあります。それだけに政府があらゆる可能な措置を取ることが求められます。
これまでの震災でも、防寒用品や薬品が足りず避難所で体調を壊したり、長時間自家用車の中ですごし亡くなったりする例もありました。
地震や津波で助かった命が、支援の手が届かず損なわれるということは絶対あってはなりません。
被災者の救出にあらゆる手だてをつくすとともに、避難した人への支援に全力をあげることが求められます。
「計画停電」 正確で的確な情報提供を
東日本大震災による電力の供給不足に対処するため、東京電力が14日実施を計画した「計画停電」(輪番停電)によって、首都圏の交通機関などが大混乱しました。一部地域で夕方実施された停電も突然で、混乱に輪をかけました。
供給力不足による突然の大停電のような事態に対処するため、「計画停電」自体はやむをえない面がありますが、前日深夜になって突然発表され、いつどこが停電になるかも周知徹底されず、しかも発表された計画が実行されるかどうかは直前にならなければ分からないなど、やり方には多くの問題があります。計画を進めた東電と、認めた政府の責任は重大です。
停電が実行されれば、交通通信機関や病院、学校などが大きな影響を受けるだけでなく、水道や固定電話も使えなくなる可能性があり、自宅で人工呼吸器を使っている人なども影響を受けます。実施するにしても周知徹底し、影響を少なくする対策が不可欠です。
しかも今回は、突然の「計画停電」の発表で、JRや私鉄が一部を運休したり運転本数を減らしたりしたことが混乱を招きました。駅に着いてはじめて運休を知った人も多く、通勤・通学などに大きく影響しました。東電は、運休などで供給に余裕が出たからと、早朝からの「計画停電」は直前で中止しましたが、それも混乱に拍車をかけました。
政府や東電は福島原子力発電所などの運転中止で、東京電力の供給力は需要を賄えない恐れがあると見込んでおり、「計画停電」は今後も続けるとしています。東北電力でも「計画停電」の可能性があります。混乱を避けために何より求められるのは、正確な情報を、的確に国民に知らせることです。