2011年3月10日(木)「しんぶん赤旗」
米国務省日本部長の暴言問題
日本政府は、撤回と謝罪を米国政府に求めよ
志位委員長が菅首相に提起
日本共産党の志位和夫委員長は9日、国会内で枝野幸男官房長官と会談し、ケビン・メア米国務省日本部長が昨年12月、米大学生への講義で、沖縄県民を侮辱する暴言を行った問題で、日本政府として発言の撤回と謝罪を米国政府に求めるよう、菅直人首相あてに提起しました。
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志位氏は、沖縄県民の激しい怒りを示しながら、メア発言は、「沖縄県民の土地を強奪してつくった米軍基地をめぐる歴史を歪曲(わいきょく)・合理化したうえに、基地のない沖縄を願う県民を『「ごまかし」と「ゆすり」の名人』と侮蔑・非難する許し難い暴言」と批判。「日本政府として、公式に、米国政府に抗議し、発言の撤回、沖縄県民と日本国民への謝罪を要求する」ことを強く求めました。
枝野官房長官は、8日にルース駐日米大使から電話があったさい、「(発言が)事実であるのなら、かなり強く、厳しい対応をしてもらうよう伝えている。しっかりと対応していただいていると考える」と答えました。
志位氏は、「駐日米大使から電話があったさいに、『不適切』『認めがたい』という程度ですむ話ではない。沖縄地元紙は、昨日の政府の対応について、『受け身』『及び腰』『救い難い鈍感ぶり』『なぜ米大使を呼びつけない』と批判しているが、その通りだ。問題の重大性からみて、駐日米大使を官邸に呼び、厳重に抗議することが必要ではないか。なぜそれができないのか」とただしました。
枝野官房長官は、「それも選択肢の一つとして、申し入れの趣旨を踏まえて、適切に対処していきたい」と答えました。志位氏は、「日本政府としてきっぱりした対応をすみやかにおこなう」ことを重ねて求めました。
会談には、日本共産党から穀田恵二国対委員長と赤嶺政賢衆院議員が同席しました。
申し入れ全文
内閣総理大臣 菅直人殿
日本共産党幹部会委員長 志位和夫
米国務省のメア日本部長が、昨年12月3日、同省内で行った講義内容が、マスコミ報道で明らかにされた。メア部長の発言は、沖縄県民の土地を強奪してつくった米軍基地をめぐる歴史を歪曲(わいきょく)して合理化したうえに、基地のない安心・安全な沖縄を願う県民を「『ごまかし』と『ゆすり』の名人」と侮蔑・非難する許し難い暴言である。わが党は、この暴言を断固糾弾するとともに、発言の全面撤回と謝罪を求める。
沖縄の米軍基地は、米軍占領下で、国際法を蹂躙(じゅうりん)し、民有地を不法に強奪したうえに築かれた。「もともと水田の中につくられた」基地の周りに住民が勝手に住みついて都市化したのが、普天間問題の原因であるかのように描くメア部長の主張は、米軍の暴力と無法を棚上げにして、沖縄県民に責任を転嫁する暴論である。
また、メア部長は、「東京(日本政府)は沖縄県知事にこう言う必要がある。『金が欲しいなら(移転計画に)サインせよ』」などとのべ、カネを出せば沖縄県民はいうことを聞くと言わんばかりの言葉で沖縄県民の尊厳を著しく踏みにじっている。
さらに、メア部長は、「普天間基地は特別危険ではない」、「沖縄の人は、普天間海兵隊飛行場が世界で最も危険な基地だと主張するが、それが本当ではないことを彼らは知っている」などとのべている。これは、米軍基地の危険と常に隣り合わせで暮らすことを余儀なくされている沖縄県民を取り巻く現実を無視した偽りである。
だいたい、1996年の日米合意で、両国政府はともかくも、「普天間基地は危険であり、沖縄の基地負担の軽減を図らなければならない」という共通認識のもとに、普天間基地返還を決めたはずである。メア部長の発言は、「普天間基地は危険」という問題解決の大前提、大原則を覆すものにほかならない。
沖縄基地問題の日米交渉にあたる直接の担当者が、こうした暴言を行ったことは、断じて容認できない。
わが党は、日本政府が、米国政府に対して、米国務省日本部長のこの暴言に厳しく抗議し、発言の撤回と、沖縄県民をはじめ日本国民にたいする謝罪をきっぱりと要求することを強く求める。