2011年3月8日(火)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
説得力ある提言です。先日、有識者が発表した「地上アナログ放送の終了延期=地デジ難民のゼロ化」を求める要求書。アナログ停波2年余の延長を提案しています▼読者のはがきも、地デジをめぐる苦情が増えてきました。なぜ、まだ映るものを捨てなければならないのか。テレビとの縁切り宣言もあります。高齢者にとっては、なくてはならない娯楽です。悲壮感が漂っています▼国の方も焦っています。1月には「完全デジタル化に向けた最終国民運動」なるものを発表。でも、その5本柱は実に心もとない。新規の運動は、地デジボランティア全国声かけ・念押し運動と、「地デジ詐欺ご用心!」運動。20万人組織したという地デジボランティアの中には、ボーイスカウトの子どもたちもいます▼昨年9月の時点で、9割が地デジ対応受信機を保有しているそうです。ただしこの調査は、80歳以上の世帯は除外しています。要求書の発起人の一人、なだいなださん(作家・医師)は80歳以上です。「ちゃんと生きているのに、存在しないことになっている。そうされる気分を皆さんも想像してみてください」(メッセージから)▼都合のいい情報だけを提供する。戦前の大本営発表と似ている、と砂川浩慶・立教大学准教授は言います。おかしいというべきマスコミは、地上デジタル推進全国会議の構成員に組み込まれています▼国は、「ギリギリまで腰をあげない層」を「待ちデジ」と位置付けます。何と傲慢(ごうまん)な言い草でしょう。