2011年3月6日(日)「しんぶん赤旗」
後遺症に苦しみ損保・弁護士相手に交渉…
交通事故調停まで5年
被害者「泣き寝入りしない制度に」
「交通事故にあって損害保険会社とその委託を受けた弁護士を相手に交渉を重ね5年余り。調停で和解しましたが、被害者がなぜこんなに苦労しなくてはいけないのか」という千葉県柏市在住の秋田優子さん(40)=仮名=の話を聞きました。 (柴田善太)
2005年5月、秋田さんは同県流山市の交差点をバイクで走行中、赤信号で突っ込んできた車にはねられました。目撃者も多く警察で責任割合は秋田さんが0、加害者が100と認定されました。
ところが保険会社はバイク修理など物損の支払いを拒む姿勢をとり、秋田さんの対応窓口を保険会社から委託を受けた弁護士に代えます。秋田さんは、金融庁にも保険会社の対応の悪さを訴えました。
秋田さんはヘルニア、バレリュー症候群と診断され頭痛、目まい、肩こり、腰痛などに苦しむようになります。現在も通院中です。
事故から7カ月分の医療費は病院に直接、保険で支払われましたが、交通費は自己負担。医療費も7カ月以降は自己負担になりました。
秋田さんは07年3月にそれまでかかった医療費などの支払いを弁護士あてに請求しました。しかし、回答がありません。文書で数回問いただしてもなしのつぶて。08年7月に秋田さんの主治医でもない医師の診断書に基づいてつくられた後遺障害等級14級(最軽度)の通知書が送られてきただけです。
09年1月、加害者側から調停の申し立てがありました。秋田さんは激しい目まいで入院している最中でもあり弁護士を代理人にして調停に入り、10年8月に加害者側の損害賠償支払いで合意しました。
秋田さんは言います。
「個人で保険会社や弁護士を相手に交渉するのは大変で、途中で折れてしまう被害者もいると思います。私は保険会社、弁護士に高圧的な態度をとられたこともあり負けたくなかった。加害者は『保険会社に任せてある』と言うだけ。被害者が泣き寝入りしなくてすむシステムにしてほしい」
公的機関に早く相談を
千葉県の交通事故相談所(無料)に寄せられた相談件数は5334件(2009年度)。被害者からのものが85・7%、示談の仕方に関するものが48%を占めています。(グラフ)
相談所の担当者は、インターネットによる保険の通信販売の広がりも指摘。「被害者の救済にまだまだ課題が多い。困ったら早く相談に来てほしい」と話しています。
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