2011年3月6日(日)「しんぶん赤旗」

主張

NZ地震から10日余

日本でも日ごろの備え怠らず


 先月22日ニュージーランド南島のクライストチャーチ市の近くで発生し、日本人留学生を含め甚大な被害をもたらした地震から、10日余りたちました。現地ではいまも亡くなった方の身元確認や行方不明者の捜索が続いています。

 亡くなった方、被害にあわれた方とそのご家族、関係者の方に改めてお見舞い申し上げるとともに、日本でも地震への備えを怠らず、被害を防ぐ対策をつくすことを求めるものです。

いつでも起こりうる災害

 今回ニュージーランド(NZ)で発生した地震は、地震の規模を示すマグニチュード(M)は6・3と、比較的小さなものでした。にもかかわらず日本の震度では6強に相当する大きな揺れが発生し、クライストチャーチ市では建物が崩壊するなどで、死者・行方不明者が200人を超すという大きな被害が発生しました。

 専門家は震源が直下で地下5キロメートル程度と浅かったことが原因だったと指摘します。同市の地下に活断層があったことは認識されておらず、地震対策は不十分だったと指摘する専門家もいます。現地では昨年9月のM7・0の地震まで100年近く地震がなく古い建物が残っていたことや、逆に昨年の地震で被害を受けた建物が使用され続けていたことが被害を大きくしたという見方もあります。

 問題は、今回NZで起きたような地震が、日本でもいつでもどこでも起こりうることです。

 NZは日本と同じように地球の表面を覆う巨大な岩板(プレート)がぶつかり合うところに位置しています。プレートの境界で起こる地震だけでなく、内陸にある活断層が地震を引き起こすことも知られています。今回の地震が未知の活断層によるものといわれているように、日本でも未知の活断層が原因となったとみられる地震が、新潟県中越地震(2004年)、岩手・宮城内陸地震(08年)など続発しています。

 地震の発生数は日本のほうが格段に多いのが実情です。気象庁の資料によれば日本で1年間に発生するM6・0〜6・9の地震は平均して17回で、世界全体の1割以上にのぼります。地震の被害がどの程度になるかは震源が直下か、深さはどうかなどにもよりますが、日本でも大きな被害が起こりうることに警戒が必要です。

 いつでも起こりうる地震に備えるうえで大切なのは、被害を最小にするよう建物の耐震化などをすすめ、避難の体制も整えることです。地震対策が不十分で、建物の老朽化や強度不足が被害を大きくしたといわれる今回の地震から、日本がくみ取らなければならない教訓は少なくありません。

耐震化を最優先で

 とりわけ深刻なのは、木造家屋の多い日本での建物の耐震化の遅れです。昼間多くの子どもたちが学び、災害時には避難場所となる小中学校でさえ「耐震性あり」は7割強で、3割近くが「耐震性なし」とされるか耐震診断さえしていないありさまです。住民の生命に直結する住宅の耐震化や、水道などライフラインの耐震化もまだまだ遅れています。

 NZ地震でもろくも崩れ落ち、日本人留学生を含む多くの人命をのみ込んだがれきを目にするたびに、日本でも対策を急ぐことの重要性を痛感せずにはおれません。





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