2011年3月6日(日)「しんぶん赤旗」

政府・与党 行き詰まり 迷走

予算案と関連法案 審議 波高し

共産党 暮らし守る施策提起し対決


 2011年度予算案は衆院を通過し、参院での審議が始まりました。憲法の規定により、予算案は参院への送付後30日で自然成立するため年度内成立となる見通しです。しかし、参院では野党が多数を占めるもとで、歳入の半分近くを確保する予算関連法案の見通しはまったく立っていません。政局は、菅直人首相の退陣や前原誠司外相の進退、衆院解散・総選挙の可能性も含めて緊迫の度を増す展開となっています。

議長も反発

 「関連法案を修正するといいながら予算案だけを送ってくるのは問題だ」。予算関連法案を衆院にとめ置いたまま、予算案を参院に送付したことに、民主党出身の西岡武夫参院議長までが反発しています。

 「熟議の国会」(菅首相)といいながら与党が野党側の質問時間を減らすよう求めたことも反発を広げ、審議入りが衆院送付から3日も遅れる異例の事態となりました。

 政府・与党が、特例公債法案など関連法案を衆院にとめ置いているのは、一部野党を取り込んで法案を修正して成立させる道を探るため。しかし、参院での予算案審議が優先されるため、衆院では一部を除いて予算関連法案は審議のめどさえたっていません。

行方見えず

 関連法案のなかでも赤字国債を発行する特例公債法案が成立しないと、歳入92・4兆円のうち40・7兆円が確保できなくなり、予算執行に障害が生まれる深刻な局面に陥ることになります。

 しかし、特例公債法案にはすべての野党が反対。そのため政府は予算成立後に予算を減額する補正予算案や、3月末で失効する「日切れ法案」を3カ月程度延長する「つなぎ法案」の検討に入らざるをえない事態です。

 日本共産党は予算案の組み替えを提起。賃上げや社会保障の拡充など国民の暮らしを支える施策を示し、その財源として、大企業・大資産家優遇と5兆円規模の軍事費という「二つの聖域」にメスを入れることを求めています。

子ども手当

 11年度の子ども手当法案については、日本共産党の市田忠義書記局長が、「政府案には反対だが、廃案にして児童手当に戻すという立場ではない。修正して成立させるべき」だとNHKの討論番組(2月27日)で主張。民主党の岡田克也幹事長が「われわれも今の案をこれでなければいけないというつもりはない」と応じました。

「解散」脅し

 菅内閣が公約を次々と裏切って「自民党化」を加速させるなか、国民の批判の高まりを反映して「造反」の動きも広がっています。

 「マニフェストが守られていない」として16人の民主党衆院議員が会派離脱を表明したのに続いて、松木謙公農水政務官が辞任、4日には佐藤夕子衆院議員が「減税日本」に加わるとして離党を届け出ました。

 それだけに菅首相は、「憲法上のルールを無視することはない。何らかの選択を迫られたときはルールにのっとって行動する」(4日)と解散も排除しない姿勢を強調するなど、退陣論をけん制し、政権維持に強い執念を見せています。

新たな火種

 ここにきて新たな火種も浮上。

 前原外相が、政治資金規正法で禁じられている外国人からの政治献金を受け取っていたことが発覚。進退問題に発展する可能性が出ています。

 専業主婦の国民年金の切り替え漏れ問題では、細川律夫厚生労働相が、担当課長が救済策の通達を出したことを「知らなかった」と述べ、これまでの大臣談話や答弁を次々と訂正するなど、ずさんな政権運営が露呈しています。





■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp