2011年3月5日(土)「しんぶん赤旗」

JR西事故裁判

ATS 最優先すべきだった

安全委部会長が証言


 107人が犠牲となったJR福知山線脱線事故で業務上過失致死傷罪に問われているJR西日本前社長、山崎正夫被告の第11回公判(神戸地裁)が4日、ありました。証人として国土交通省運輸安全委員会鉄道部会長の松本陽氏(62)が出廷。事故現場について「速度超過する危険性が高い例外的な曲線で、速度をチェックできるタイプのATS(自動列車停止装置)を最優先で設置するのが適当だった」と証言しました。

 松本氏は、(1)国交省省令の解釈基準では、列車が安全かつ高速に運行できるために、カーブ半径はその路線全体の最高速度の80%で通過できるものにすべきだと定められ、福知山線では半径450メートルであるところ、事故現場カーブは半径304メートルと大幅に下回っていた(2)しかも、直前の直線区間の制限速度が路線最高の時速120キロメートルに対し事故現場カーブは制限速度が時速70キロメートルで制限速度差が時速50キロメートルに上る「相当に例外的な曲線」である―と指摘。「速度超過する危険性が増え、特に注意が必要」であり、「ATSを最優先で設置するのが適当だった」とのべました。

 さらに松本氏は、弁護人が「福知山線事故以前は、列車の運転は運転士の主体的な操作に委ねればよいというのが業界の常識ではなかったか」との質問に、「(ATSは)運転士が制限速度を超えてしまった場合にそれをバックアップするもので、運転士に委ねればよいというものではな」く、その考え方は事故以前から変わらないと指摘。「弁護人のヒューマンエラーに対する認識が違っている」とのべました。





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