2011年3月5日(土)「しんぶん赤旗」
アフガン
空爆 子ども9人死亡
ISAF 当初「反政府勢力殺害」
国連 作戦規範見直し求める
北大西洋条約機構(NATO)軍主導の国際治安支援部隊(ISAF)は1日、アフガニスタン東部国境地帯のクナール州を空爆、この攻撃で子ども9人が死亡しました。ロイター通信によると、最近の2週間に、アフガン東部でのISAFの作戦行動で民間人が犠牲になる事件が少なくとも4件起きています。国連はISAFの作戦規範の徹底的な見直しを求めるなど、軍事作戦に批判が強まっています。
いずれの事件も、7月から始まる駐留米軍部隊の撤退を前に、ISAFとアフガン軍がタリバンなど反政府武装勢力への攻勢を強める中で発生しました。
1日の事件が起きたのは同州の町マノガイ。ISAFは、空爆は反政府武装勢力が同部隊基地をロケット砲攻撃したことへの反撃だと説明しています。ISAFは当初、反政府勢力の戦闘員9人を殺害したと発表しましたが、同州警察によると、死者はたきぎ拾いをしていた12歳以下の子ども9人でした。
同州のワヒディ知事は、2月20日、同日までの4日間にISAFと政府軍の作戦行動で子ども29人を含む民間人64人が死亡したと告発。アフガン政府高官は、この2週間の犠牲者は80人を超えたとロイター通信に語りました。
アフガン議会の一部議員は1日の事件後、駐留米軍のペトレアス司令官とカルザイ大統領に説明を要求。同司令官は2日、「ISAFに全面的な責任がある」と認めました。ホワイトハウスによると、オバマ米大統領は2日夜、カルザイ大統領とのテレビ会談で「深い遺憾の意」を表明しました。
クマラスワミ子どもと武力紛争国連事務総長特別代表は3日、「アフガンでの複雑で不安定な状況の中で子どもたちが犠牲とならないよう予防措置を講ずる」ことをISAFなどに求めました。
昨年12月の国連報告によると、2010年の1月〜10月までの10カ月間で戦闘に巻き込まれて死傷した民間人は前年同期を20%上回る6215人(うち死者2412人)でした。
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