2011年3月5日(土)「しんぶん赤旗」

主張

米軍機低空飛行

無法行為容認するのをやめよ


 米軍機が全国いたるところでくりかえしている低空飛行訓練に対し、各地の住民が怒りの声をあげ、飛行中止の要求を政府につきつけています。

 住民ばかりでなく、自治体も飛行中止を求めています。昨年8月には中国地方知事会、12月には広島県知事が、今年2月には群馬県知事が、政府に低空飛行の中止を要求しています。

 菅直人・民主党政権は自治体・住民の悲痛な訴えに応えていません。自公政権と同じです。こうした米軍の無法をやめさせようともしない政府の態度が米軍を増長させているのは明らかです。

米国では許されない

 米軍機が低空飛行のさい各地で無制限にまきちらすごう音は、まさに住民に対する「音による拷問」です。住民に「心臓が破れる」というほどの苦痛と、米軍機から「襲われる」という恐怖を与えています。菅直人首相が国民生活のことを少しでも考えるなら、痛みと恐怖を各地の住民に押し付けている低空飛行をやめさせるために力をつくすべきです。「真摯(しんし)に受け止める」といいながら低空飛行を容認するのでは、筋が通りません。

 そもそも住宅地上空を米軍機が飛ぶこと自体、米国内では禁止されています。米本国では一般住宅地や都市の上空で低空飛行訓練はないということでいいか、という質問に、外務省の梅本和義北米局長は「そのような理解でよろしい」と認めました(2009年7月1日、衆院外務委員会)。それなら米国内で禁止されている住宅地上空での低空飛行は即刻中止せよと米軍にいうことこそ、日本政府の責務です。

 日本の航空法が規定する「最低安全高度」を米軍が守っているからという日本政府と米軍の言い分も、低空飛行訓練を正当化する根拠にならないことが国会論戦を通じて明らかになってきました。

 航空法が定める「最低安全高度」は、人口密集地上空では300メートル、人家のないところでは150メートルです。国土交通省は日本共産党の井上哲士議員の質問に対して、「最低安全高度」の規定は、「遊覧飛行を行うヘリコプターなどが低空飛行を行う際にその安全性を確保する」ためのものといい、「通常、航空会社の航空機が最低安全高度を飛行することは、想定しておりません」とものべています(10年4月8日参院外交防衛委員会、前田隆平航空局長)。

 遊覧飛行などとは比較にならないほどの騒音をまきちらし、住民の安全を脅かす戦闘機が、「最低安全高度」を守っているからといって低空飛行が許されないのは当然です。日米両政府の論拠が成り立たないことは明白です。

正面から対米要求を

 飛行ルートさえ明らかにせず、日本全国を勝手気ままに飛び回る世界でも異常な低空飛行訓練を、日本の政府が正すのは当然です。

 各地の低空飛行訓練のなかでも群馬県内での訓練はとりわけ深刻です。昼夜を問わない訓練に対して、住民の防衛省に対する苦情は09年度約200件が、10年度は500件に増えています。前橋、高崎、渋川3市だけでもほぼ80万人にもなる市民の苦しみをこれ以上放置するのは許されません。

 政府は米国追随姿勢をやめ、無法な低空飛行の中止を米政府に正面から要求すべきです。





■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp