2011年3月4日(金)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 ふだんあまり耳慣れない、罪名が出てきました。「偽計業務妨害」。人をあざむく計略、つまり偽計を用いて会社や役所の業務をじゃまする▼しかし罪名以上に、犯罪とみなされた行いそのものになじみがありません。いや、日本では前代未聞です。大学の入学試験中、出た問題を携帯電話でインターネットの掲示板に流し、“教えて”と回答を募ったのですから▼同じ「aicezuki」名で、4大学の英語・数学の12問。絵文字もつけ、「お手数かけます」と質問者。多い場合、1問につき5人から答えが寄せられています。回答者は、入試問題と知らなかったのでしょうか。初めから知っていて協力したのでしょうか▼大学側は入試という業務が妨害されたと訴え、予備校生が逮捕されました。ちなみに、入試の不正をさす言葉の「カンニング」は、「ずるい」「巧妙な」を意味する英語です▼誰でもみられて発覚しやすいインターネット掲示板に投稿するなど、巧妙とはいえないかもしれません。しかし、より巧妙な手口への心配は募ります。公開の掲示板でなく、入試会場の外で連絡を待つ“仲間”と、ひそかにやりとりする。さらに、そんな不正を組織だった“カンニング産業”化する…▼すでに、試験会場で携帯電話を使わせない大学もあります。いま、経済格差が子どもの学ぶ権利の平等を奪っています。受験競争は彼らを追いつめます。しかし、入試の公正さえ守れないのでは、受験生の努力に報えず、大学と教育は信頼を失います。





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