2011年3月3日(木)「しんぶん赤旗」
リビア反政府側
都市奪還作戦を撃退
東部に「軍事評議会」設置
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【カイロ=伴安弘】リビアでの反政府デモ発生(2月15日)から2週間の1日、首都トリポリとその周辺の数都市に支配が限られるようになったカダフィ政権側は二つの戦略都市の奪還を図りました。しかし、反政府側によって撃退されました。
報道によると、首都の西50キロのザウィヤでは2月28日夜からカダフィ軍側が攻撃を仕掛け、戦闘は6時間に及んだといわれます。カダフィ軍は6方面から攻撃を行いましたが、戦車や自動小銃、対空砲で武装した政府軍兵士も加わった反政府側はこれを撃退しました。
同市の住民は市中心部で歓声を上げながら行進。「アラーアクバル(神は偉大なり)、われわれは勝利した」と叫びました。空軍大佐を肩に乗せて歩く人もいたといいます。
リビア第3の都市、首都の東200キロのミスラタでも、市近郊の軍事空港の一部を占拠しているカダフィ軍が28日、空港の全面奪還に出ましたが、反政府側がこれを撃退しました。同市にはこの数日、反政府側が支配している東部地域から応援部隊も到着していました。
また同日には、反政府勢力が東部のベンガジに「軍事評議会」を設置したことを明らかにしました。カダフィ軍に対抗するため、全国的に統一された軍事組織の構築をめざすものです。
一方、カダフィ大佐は反政府側への爆撃の脅しをかけながら、住民懐柔の姿勢もみせています。
カダフィ政権はトリポリからベンガジに向けて、コメや小麦粉、砂糖、タマゴを積んだトラック18台と、医薬品を積んだ車2台を出発させました。ベンガジでは、この「救援」物資を受け取るかどうかで意見が割れているといわれます。反政府活動家の一人は「われわれは政権側による、メディア向けのいかなる試みも拒否する」と述べています。
一方、米国などがリビア上空に飛行禁止区域を設けることには、ベンガジの反政府側の間に反対はありません。同市の法律家ナセル・ヌル氏は「われわれが反対するのは外国軍がリビア領土に入ることだ」と述べたと伝えられます。
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